妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ロヴェリオ殿下は、私のことを気遣ってくれているようだった。
 それはとてもありがたい。お陰で落ち着く時間ができた。
 ということで、私はヴェルード公爵夫人の方を見る。すると彼女の表情が崩れているのがわかった。

「うふふ……」

 夫人の表情は柔らかく歪んでいる。恐らく、それは笑みに分類されるものだといえるだろう。真剣な表情しか見たことがなかったため、私はその表情に驚いていた。
 そこでふと隣を見ると、ロヴェリオ殿下も目を丸めていることがわかった。どうやらこれは、いつものヴェルード公爵夫人の表情という訳ではないらしい。
 一体何故、そのような表情をしているのだろうか。私は少しだけ、警戒を強めるのだった。

「……可愛い」
「え?」

 少しの沈黙の後、ヴェルード公爵夫人はゆっくりと口を開いた。