妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 アドルグにとって、ロヴェリオがそのように口を挟むのは予想していないことだった。その言葉も彼らしくはない。冷静さというものを欠いた言葉だ。
 ただその言葉をアドルグは嬉しくも思っていた。それクラリアを思っての言葉だということは、明白だったからだ。

「ペレティア嬢、サナーシャ嬢、言っておくがこれだけで済んでいるということにあなた達は感謝するべきだ」
「な、なんですって?」
「俺の妹は寛大だった。あなた方にあれだけのことをされたというのに、必要以上の罰を与えることを良しとしなかった。クラリアは誇り高きヴェルード公爵家の一員だ。あなた方も少しくらいは見習うといい」
「……わ、私があんな妾の子に」
「ペ、ペレティア嬢……」

 アドルグの言葉に、二人の令嬢はかなり動揺しているようだった。
 自分達が見下していた相手から同情されていたという事実に対して、二人は屈辱のようなものを覚えているらしい。