期限付きの恋

その日の放課後。
担任からガミガミ指導を食らった後、下駄箱掃除の為に私は1階へ降りていた。はぁ、と溜息をつきながら階段を降りると、掃除用具入れの所にどうやら先着が居るようだった。
「あ、君…」
確か勢いよく私の背中に追突してきた今朝の男子だ。
ふと彼のスリッパを見ると、私たち3年生の学年カラーとはちがう色のスリッパを履いていた。2年生だ。
「私より年下なのね。同い年かと思ってた。」
まぁこれも何かの縁だと思い、話しかけてみた。
「え?あー…まぁはい。2年っす。その、今朝は思い切っりぶつかって一緒に遅刻扱いさせられて、さーせんっした」
謝り慣れてないのか、怒られてシュンとした犬みたいだった。
「別に、大丈夫。」
そう言うと彼の顔は凄く明るくなった。
「良かった!」
責められる言葉でも掛けられるかもと思っていたのか、彼は安堵の息を吐いた。
「そういや、先輩って俺の事同い年に見えた?」
「うん、まぁ…私、自分の学年の顔全員覚えれてないから」
「へぇ〜そっかぁ!でも俺はどう見ても3年生って感じじゃないっしょ?」
なんかヘラヘラした感じで腹立つ…!そう思い、
「ねぇ、私一応あんたの先輩なんだけど。急にタメ口で話すからびっくりしたわ」
「え〜、でも俺、敬語とか嫌いだし。俺には敬いたい人なんてこの世にいないからね〜。俺は2年3組の大槻駿。先輩ちゃんはなんて名前?」
「日浦桃子。3年1組」
彼の第1印象、最悪。何が『縁』よ!!縁もクソもないじゃない!1人イライラしている私を放って彼は
「桃子?なんか顔と名前が合ってないね」
馬鹿にされてるのか、これは。もう自分でもよく分からなくなってきた。最初のシュンとした顔はどこいったんだよ。とんでもないくらい憎たらしいガキだわ。
「さっさと掃除するわよ。早く帰りたい。」
「おっけ〜!」