「おう、流星どうした?なんかやらかしたのか?」笑いながら湊がいった。

湊は中学から一緒の友達だ。それでも病気のことは言っていない。

「うん、テストの点でちょっとね」

「確かにあの点はやばかったな〜。流石の俺でも取ったことないぞ」と、嘘の話を淡々と並べた。本心は隠して、誰にもバレないように。すると一人の女子が僕たちの前に立った。たしか名前は鮎川さんだった気がする。

「ごめん。邪魔だよね」
どこうとすると鮎川さんはため息をついて驚きの一声をあげた。

「…本当に変わっちゃったんだね」

「なんのこと?」僕は本当になんのことだかわからなかった。そもそも喋ったこともこれが初めてのはずだし、まともに顔を合わせたのだって初めてだ。

「…そういうところだよ。ほんとあんたなんて大っ嫌い。一生喋りかけてこないで」そう言って、呆然とする僕たちの前を通り過ぎていった。

「なあ…お前なんかした?」

「いやいや、初めて喋ったんだよ?」そうだよな、と湊は言いながら前を向いた。