月が生徒会室に着く頃には日入りがされに進んで太陽は最後の力を振り絞り、キレキラと輝いていた。
扉を開けると、爛がせっせと事務作業をしていた。

「あの会長、年度末会計の報告書ができたんですけど一つ数が合わないところがありまして。確認お願いできますか?」

月の声かけに爛は書類から目を離し、月が持っている資料を受け取る。

「数が合わない?……ここ、計算間違ってる」

月は会長の指差す部分を見た。確かに数があっていない。

「すみません。私の確認ミスです。」

 月は無意識に手が震えていた。それを見た爛は厳しく冷たい表情から心配をするような表情に変わった。

「月?何かあったか?もし何かあるのなら俺に言ってくれ。力になりたいんだ。」

優しい声かけに月は戸惑ってしまう。そして戸惑いを隠すように言った。

「会計の提出はまだ期間ありますよね。明日にでも書き直して提出します。今日は暗くなる前に帰りますね。」

「待て。」

 爛は帰ろうとする月を引き止め、手持ちカイロを取り出した。

「帰るのならこれを持っていけ。まだまだ寒いしな。」

 月はそれを受けると冷え切っていた手が一気に暖かくなるように感じた。手だけじゃない冷え冷えとしていた心まであっためられた気がした。

「(これが太陽の力なのだろうか。爛くんは太陽なのかもしれない...)」

 月はカイロを制服のポケットに入れ、帰路についた。