学校見学を終えた後。
俺とシルナは、再びファニレス王城の客室に連れ帰られた。
「お疲れ様でございました。シルナ様。羽久様」
客室までは、いつも通りシディ・サクメが案内してくれた。
…もう覚えちゃったから、別に案内してくれなくて良いぞ。
「大変貴重なご意見を賜ったと聞いております。ありがとうございました」
「…」
「お疲れでしょう。今、飲み物でも…」
「…結構だよ」
この国の連中は、どうにも俺達に飲み物を飲ませたがるな。
そんなお茶ばっか要らねーし。欲しかったら自分で淹れるよ。
「左様ですか。では、ゆっくりおくつろぎください」
「…」
「何か用件がありましたら、いつでも私に…」
「なぁ、あんた」
「はい」
この際だから、聞かせてもらおう。
「…本気なのか?イシュメル女王は」
「…何の話でしょう」
とぼけてんじゃねぇぞ。分かってる癖に。
「本気で、ルーデュニア聖王国に宣戦布告するつもりなのか」
俺とシルナが、望んでもいないのに何日もこの国に留まっているのは。
イシュメル女王の、その脅しがあるからだ。
「あなた方が、この国に亡命してくれなければ…いずれ、そうなるでしょうね」
…こいつ、いけしゃあしゃあと。
「理不尽だと思わないのか?道理に反してると思わないのか」
他国に亡命するかどうかなんて、他人が勝手に決めることじゃないだろ。
しかし。
「それが女王陛下のご意思なら、私はそれに従うだけです」
「…女王の犬めが」
「何と言われても結構です。私は、誇り高きキルディリア魔王国の上級魔導師ですから。女王陛下のご意思に従う義務があるのです」
あぁ、そうかよ。
あのキルディリア国立魔導師学校では、あんたみたいな便利な犬を育ててるんだろうな。
「あなた方も、仮にも魔導師であるならば、魔導師らしく振る舞うべきだと、私は思います」
むしろ、俺達に説教かまして来やがった。
「魔法が使えるってだけで偉そうに振る舞って、非魔導師を虐げるのが『魔導師らしさ』なんだったら…俺はそんなもの要らないね」
「なんと言おうと、あなたもまた魔導師です」
そりゃまぁそうなんだけど。
「キルディリア魔王国は、優秀な魔導師を歓迎します。ルーデュニア聖王国より、遥かに高待遇で」
俺は別に、ちやほやされたい訳じゃない。
「それに、キルディリア魔王国では高度な魔導科学の研究も出来ます。キルディリア国立魔導師学校の在り方が気に入らないのなら、新たに魔導師学校を創設することも、女王陛下は許してくださっています」
「…」
「どうか、賢明なご判断を」
この国で新しく、快適に暮らしていける環境は整えてやる。
欲しいものがあるなら、何でも用意してやる。ルーデュニア聖王国から持ってきても良い。仲間を連れてきても。
だから、それで納得しろと。
ルーデュニア聖王国のことも、イーニシュフェルト魔導学院のことも諦めろと。
あぁ、それは確かに好条件だとも。
…だけどな。
「…諦められるワケ、ないだろ」
俺は、強く拳を握り締めた。
俺とシルナは、再びファニレス王城の客室に連れ帰られた。
「お疲れ様でございました。シルナ様。羽久様」
客室までは、いつも通りシディ・サクメが案内してくれた。
…もう覚えちゃったから、別に案内してくれなくて良いぞ。
「大変貴重なご意見を賜ったと聞いております。ありがとうございました」
「…」
「お疲れでしょう。今、飲み物でも…」
「…結構だよ」
この国の連中は、どうにも俺達に飲み物を飲ませたがるな。
そんなお茶ばっか要らねーし。欲しかったら自分で淹れるよ。
「左様ですか。では、ゆっくりおくつろぎください」
「…」
「何か用件がありましたら、いつでも私に…」
「なぁ、あんた」
「はい」
この際だから、聞かせてもらおう。
「…本気なのか?イシュメル女王は」
「…何の話でしょう」
とぼけてんじゃねぇぞ。分かってる癖に。
「本気で、ルーデュニア聖王国に宣戦布告するつもりなのか」
俺とシルナが、望んでもいないのに何日もこの国に留まっているのは。
イシュメル女王の、その脅しがあるからだ。
「あなた方が、この国に亡命してくれなければ…いずれ、そうなるでしょうね」
…こいつ、いけしゃあしゃあと。
「理不尽だと思わないのか?道理に反してると思わないのか」
他国に亡命するかどうかなんて、他人が勝手に決めることじゃないだろ。
しかし。
「それが女王陛下のご意思なら、私はそれに従うだけです」
「…女王の犬めが」
「何と言われても結構です。私は、誇り高きキルディリア魔王国の上級魔導師ですから。女王陛下のご意思に従う義務があるのです」
あぁ、そうかよ。
あのキルディリア国立魔導師学校では、あんたみたいな便利な犬を育ててるんだろうな。
「あなた方も、仮にも魔導師であるならば、魔導師らしく振る舞うべきだと、私は思います」
むしろ、俺達に説教かまして来やがった。
「魔法が使えるってだけで偉そうに振る舞って、非魔導師を虐げるのが『魔導師らしさ』なんだったら…俺はそんなもの要らないね」
「なんと言おうと、あなたもまた魔導師です」
そりゃまぁそうなんだけど。
「キルディリア魔王国は、優秀な魔導師を歓迎します。ルーデュニア聖王国より、遥かに高待遇で」
俺は別に、ちやほやされたい訳じゃない。
「それに、キルディリア魔王国では高度な魔導科学の研究も出来ます。キルディリア国立魔導師学校の在り方が気に入らないのなら、新たに魔導師学校を創設することも、女王陛下は許してくださっています」
「…」
「どうか、賢明なご判断を」
この国で新しく、快適に暮らしていける環境は整えてやる。
欲しいものがあるなら、何でも用意してやる。ルーデュニア聖王国から持ってきても良い。仲間を連れてきても。
だから、それで納得しろと。
ルーデュニア聖王国のことも、イーニシュフェルト魔導学院のことも諦めろと。
あぁ、それは確かに好条件だとも。
…だけどな。
「…諦められるワケ、ないだろ」
俺は、強く拳を握り締めた。


