あまりの頑なな態度に、シルナも言葉を失っていたが。
「私の両親も上級魔導師です。二人は、娘の私にも上級魔導師になって欲しいと思っているはずです」
「…そ、そうなの…?」
「はい。ですから、会えなくて寂しいなどとは思っていないはずです。そのような余計なことを考えている暇があったら、少しでも勉学に励むようにと」
「…」
「私もまた、このキルディリア国立学校を卒業して、必ず上級魔導師になってみせます。それが私に出来る最大の親孝行だと信じています」
「…そっか」
それもまた親心、なんだろうか。
果たして本当にそうだろうか。
別に上級魔導師になんかならなくて良いから、自分の目の届くところで育てたい。
親の手で守り、育て、愛情を注いでやりたい。
…それが親心ってものじゃないのだろうか。
俺には子供がいないし、親もいないから、親の気持ちは分からないけど…。
…でも、このくらい強い意志と、覚悟がないと。
この学校では、生き残れないということなのだろう。
それから俺達は、図書室にいた別の生徒、児童にも声をかけた。
中学生も高校生もいたし、小学生もいた。
彼らにシルナは、似たような質問を繰り返した。「寂しくはないのか」と。
だけどみんな、判を押したように同じ答えだった。
「寂しくはない」と。「家族も自分がこの学校を卒業することを望んでいるはずだ」と。
強がっているのではなく、心の底からそう思い込んでいる、という口調なのだ。
彼らの言葉の端々に、「私は『あの』キルディリア国立魔導師学校の生徒なのだ」という、確固たる誇りを感じた。
だからどんな辛いことにも耐えてみせるし、それが国に忠義を果たすことに繋がる。
魔導師としての勉強だけじゃない。
ここにいる生徒達は、相当、強引な情操教育を受けている。
自分達は、誇り高いキルディリア魔王国の魔導師である、と。
魔導師でなければまともな人権も保障されず、しかも上級魔導師となれば、一生、地位と名誉を約束される。
だから何としても、彼らは上級魔導師になりたがる。選ばれた狭き門に、何とか滑り込む為に。
それが家族への、そして国家への、最高の奉公になると信じて。
…魔導師でなければ、生きている価値もないという考えの国だ。
そこで生まれ、育った彼らにとっては、これが当たり前なのだろう。
そんな彼らの意思を否定はしない。彼らなりに苦しんでいるだろうし、毎日必死なんだろうから。
だけど、認めることは出来なかった。
正しいことだとも思えなかった。
だって、魔導師だろうが魔導師じゃなかろうが、同じ人間なのに。
どうして、魔法が使えるか否かで、ここまで露骨な差別を受けなければならないのか。
俺には到底、理解が及ばなかった。
「私の両親も上級魔導師です。二人は、娘の私にも上級魔導師になって欲しいと思っているはずです」
「…そ、そうなの…?」
「はい。ですから、会えなくて寂しいなどとは思っていないはずです。そのような余計なことを考えている暇があったら、少しでも勉学に励むようにと」
「…」
「私もまた、このキルディリア国立学校を卒業して、必ず上級魔導師になってみせます。それが私に出来る最大の親孝行だと信じています」
「…そっか」
それもまた親心、なんだろうか。
果たして本当にそうだろうか。
別に上級魔導師になんかならなくて良いから、自分の目の届くところで育てたい。
親の手で守り、育て、愛情を注いでやりたい。
…それが親心ってものじゃないのだろうか。
俺には子供がいないし、親もいないから、親の気持ちは分からないけど…。
…でも、このくらい強い意志と、覚悟がないと。
この学校では、生き残れないということなのだろう。
それから俺達は、図書室にいた別の生徒、児童にも声をかけた。
中学生も高校生もいたし、小学生もいた。
彼らにシルナは、似たような質問を繰り返した。「寂しくはないのか」と。
だけどみんな、判を押したように同じ答えだった。
「寂しくはない」と。「家族も自分がこの学校を卒業することを望んでいるはずだ」と。
強がっているのではなく、心の底からそう思い込んでいる、という口調なのだ。
彼らの言葉の端々に、「私は『あの』キルディリア国立魔導師学校の生徒なのだ」という、確固たる誇りを感じた。
だからどんな辛いことにも耐えてみせるし、それが国に忠義を果たすことに繋がる。
魔導師としての勉強だけじゃない。
ここにいる生徒達は、相当、強引な情操教育を受けている。
自分達は、誇り高いキルディリア魔王国の魔導師である、と。
魔導師でなければまともな人権も保障されず、しかも上級魔導師となれば、一生、地位と名誉を約束される。
だから何としても、彼らは上級魔導師になりたがる。選ばれた狭き門に、何とか滑り込む為に。
それが家族への、そして国家への、最高の奉公になると信じて。
…魔導師でなければ、生きている価値もないという考えの国だ。
そこで生まれ、育った彼らにとっては、これが当たり前なのだろう。
そんな彼らの意思を否定はしない。彼らなりに苦しんでいるだろうし、毎日必死なんだろうから。
だけど、認めることは出来なかった。
正しいことだとも思えなかった。
だって、魔導師だろうが魔導師じゃなかろうが、同じ人間なのに。
どうして、魔法が使えるか否かで、ここまで露骨な差別を受けなければならないのか。
俺には到底、理解が及ばなかった。


