神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「これ…。この子供達、ちゃんと理解してるのか?」

真剣な顔をしてはいるけれど、本当に理解出来ているのか怪しい。

そう思うほど、難しい内容を勉強しているのだ。

「当校では、独自のカリキュラムを作成し、そのカリキュラムに則って授業を行っています」

…との、お返事。

いや、当校のカリキュラムって…。

ルーデュニア聖王国にも、魔導科を併設している小学校はある。

けれど、こんなに難易度の高い授業はやってないはずだ。

「参考までに…こちらが、二年次で使う教科書になります」

案内役は、今まさに子供達が机の上に置いている、分厚い教科書を差し出した。

うわっ…。太っ。

しかも、文字が細かい。

老眼のシルナじゃ、読むのも難しいぞ。

「…羽久が私に…」

「良いから」

「…。…難しいね、これ」

「あぁ…」

俺とシルナは、教科書をパラパラと読みながら、そう感想を漏らした。

難しいぞ、これ。

教科書って言うか、もうこれだけで立派な魔導書だと思う。

「この歳の子供に…こんなに難しい内容は、酷なんじゃないかな…」

目の前の生徒達のことが、可哀想になったのだろう。

シルナが、案内役にそう意見したが。

「今のところ、当校が施行するカリキュラムに、大きな問題はありません」

「問題はないかもしれないけど…でも、あんまり難しい内容に詰め込み過ぎても良くないと思うよ」

理解出来ないのに、無理矢理頭の中に詰め込んだって。

ますます理解が困難になるだけで、良いことなんて何もないはず。

…しかし、案内役の男性は。

「当校は将来、上級魔導師となる素質のある子供を集め、育てています」

「はぁ…上級魔導師…」

金カード持ちのことだよな?…あんたみたいな。

「将来上級魔導師を目指そうと思ったら、子供時代を無益に過ごす時間はありません」

「無益、って…」

別に良いじゃないか。子供なんだから。

だらだらしたって、遊びに夢中になったって、それは子供の特権だろう。

真面目に勉強するのは良いことだけど、でもそれだけじゃ駄目だ。

子供の時に子供らしく過ごしてこそ、健全な大人になれるというものだろう。

しかし、この学校では、そうは考えないらしく。

「それに、これは生徒をふるいにかける為でもあるのです」

「…ふるい…?」

「このレベルについてこられない生徒は、当校には相応しくないということです」

「…」

嘘だろ。

学校が生徒に合わせるんじゃなくて、生徒が学校のレベルに合わせなきゃいけない。

とことんまで、生徒に優しくない学校だ。

イーニシュフェルト魔導学院でも、学院に入学したのは良いものの、授業についてこられなくなる生徒は少数ながら存在する。

だけど、そんな生徒には個別に丁寧な指導をして、時には特別授業も行って。

何とか学校に慣れてもらえるように、授業についていけるように手厚くサポートしている。

特にシルナなんか、授業についていけなくて引きこもっちゃった生徒まで、手を替え品を替え工夫して、授業に復帰させていた。

そんなイーニシュフェルト魔導学院の在り方とは、まさに真逆の指導だった。