俺達はその日、シディ・サクメに連れられ。
王都ファニレスにある、魔導師養成学校とやらの視察に向かった。
拘束されていた訳じゃない。手錠をかけられた訳でも、ナイフを突きつけられた訳でもない。
俺達が寝起きしている客室には、鍵さえかけられていなかった。
だけど、見張りも、監視も、拘束も必要ない。
俺達は、一切抵抗することは出来なかった。
だって、俺達が逆らえば、隠れてルーデュニア聖王国に逃げ帰るような真似をすれば。
今後は、ルーデュニア聖王国に牙を向けられる。
祖国を、そこにいる大切な人々を守る為に。
俺もシルナも、イシュメル女王の命じるまま、従順な奴隷でいるしかなかった。
この2週間以上の間、俺が、シルナが、どれほど葛藤し、どれほど耐え難い精神的苦痛を味っているか。
その思いは、筆舌に尽くし難い。
現状は、ルーデュニア聖王国に帰るどころか、連絡を取ることも許されていなかった。
…なかなか帰ってこない俺達のことを、仲間達はきっと心配してるだろうな。
それとも、「絶対に帰ってくる」と信じて待ってくれているのだろうか。
出来ることなら、俺だってそうしたい。
だけど、今のところ、俺達が安全にこの国を脱出出来る手段はなかった。
それどころか、こうして、イシュメル女王やシディ・サクメの言いなりになるしかないのだ。
自分が情けなくて仕方なかった。
きっと、シルナも俺と同じ思いでいるに違いない。
「…こちらです」
ぼうっとしている間に、例の魔導師養成学校とやらに到着した。
…ここが。
博物館だの歴史資料館だのには、まったく興味が沸かなかったが。
魔導師養成学校と聞くと、どうしても反応せずにいられない。
…イーニシュフェルト魔導学院の教師仲間達は、生徒達は、今頃どうしているだろう?
「…羽久様?」
「あ、いや…」
俺がボケーっとしているのを見て、サクメが声をかけてきた。
「どうでしょう。我が国が誇る、最高峰の魔導師養成学校…。キルディリア国立魔導師学校です」
「…ふーん…」
自慢げなことで。
そのキルディリア国立魔導師学校、とやらは。
イーニシュフェルト魔導学院の校舎とまったく同じだけど、一回りも二回りも大きくて。
高いコンクリートの壁に囲まれた、さながら要塞みたいな学校だった。
とても学校には見えないが…。
「…外だけ見せられてもな…」
「勿論、中に入って見てもらいます。…こちらに」
あ、そう…。
俺達はサクメに連れられて、魔導師学校の校舎の中に足を踏み入れた。
王都ファニレスにある、魔導師養成学校とやらの視察に向かった。
拘束されていた訳じゃない。手錠をかけられた訳でも、ナイフを突きつけられた訳でもない。
俺達が寝起きしている客室には、鍵さえかけられていなかった。
だけど、見張りも、監視も、拘束も必要ない。
俺達は、一切抵抗することは出来なかった。
だって、俺達が逆らえば、隠れてルーデュニア聖王国に逃げ帰るような真似をすれば。
今後は、ルーデュニア聖王国に牙を向けられる。
祖国を、そこにいる大切な人々を守る為に。
俺もシルナも、イシュメル女王の命じるまま、従順な奴隷でいるしかなかった。
この2週間以上の間、俺が、シルナが、どれほど葛藤し、どれほど耐え難い精神的苦痛を味っているか。
その思いは、筆舌に尽くし難い。
現状は、ルーデュニア聖王国に帰るどころか、連絡を取ることも許されていなかった。
…なかなか帰ってこない俺達のことを、仲間達はきっと心配してるだろうな。
それとも、「絶対に帰ってくる」と信じて待ってくれているのだろうか。
出来ることなら、俺だってそうしたい。
だけど、今のところ、俺達が安全にこの国を脱出出来る手段はなかった。
それどころか、こうして、イシュメル女王やシディ・サクメの言いなりになるしかないのだ。
自分が情けなくて仕方なかった。
きっと、シルナも俺と同じ思いでいるに違いない。
「…こちらです」
ぼうっとしている間に、例の魔導師養成学校とやらに到着した。
…ここが。
博物館だの歴史資料館だのには、まったく興味が沸かなかったが。
魔導師養成学校と聞くと、どうしても反応せずにいられない。
…イーニシュフェルト魔導学院の教師仲間達は、生徒達は、今頃どうしているだろう?
「…羽久様?」
「あ、いや…」
俺がボケーっとしているのを見て、サクメが声をかけてきた。
「どうでしょう。我が国が誇る、最高峰の魔導師養成学校…。キルディリア国立魔導師学校です」
「…ふーん…」
自慢げなことで。
そのキルディリア国立魔導師学校、とやらは。
イーニシュフェルト魔導学院の校舎とまったく同じだけど、一回りも二回りも大きくて。
高いコンクリートの壁に囲まれた、さながら要塞みたいな学校だった。
とても学校には見えないが…。
「…外だけ見せられてもな…」
「勿論、中に入って見てもらいます。…こちらに」
あ、そう…。
俺達はサクメに連れられて、魔導師学校の校舎の中に足を踏み入れた。


