…しかし。
シルナは、そんな目先の欲に目が眩むような奴ではなかった。
…まぁ、チョコレートには目がないけどな。
「…前にも言ったよ。私はいかなる理由があっても、ルーデュニア聖王国から離れたりしないよ」
よく言った。
シルナにとっては、第二の祖国のようなものなのだ。
簡単に離れられるはずがない。
…そして、俺にとっても。
「おぬしが執着しているのはルーデュニア聖王国ではなく、イーニシュフェルト魔導学院であろう」
と、いつも通りイシュメル女王は、扇で口元を隠しながら言った。
「ならば、学院ごと持ってくれば良い。この国に、第二のイーニシュフェルト魔導学院を作れば良いのじゃ」
…学院は、工作か何かじゃないんだぞ。
作るって言ったって…そんなに簡単に出来ることじゃない。
それに、今イーニシュフェルト魔導学院に在学している生徒達はどうなるんだ。
彼らを見捨てて、校舎だけ運んでこいって言うのか?
「優れた魔導学校の創設は、わらわとしても願ってもないこと。最高の環境を用意してやろう」
「…」
「聖賢者殿だけではないぞ。おぬしもじゃ」
と言って、イシュメル女王は俺の方を向いた。
えっ…お、俺?
「魔導師なら、誰でも歓迎じゃ。子飼いの魔導師達も、全員まとめて連れて来るが良い」
「子飼い…って、イレースや…シュニィ達のことか…?」
「あぁ、そうじゃ」
シルナだけじゃなくて。
俺も…イレースや天音達、イーニシュフェルト魔導学院の魔導師も。
それに、聖魔騎士団の魔導師達まで受け入れると。
それはそれは…寛大な申し出じゃないか。
そう言えば、俺達が未練なく移住出来るとでも?
…そのくらいの知恵は回るようだな。
でも、まだ甘い。
「…魔導師じゃなかったら、どうなるの?」
「…なに?」
俺が考えたのと同じことを、シルナが問いかけた。
「私の仲間には、魔導師じゃない子もいるよ。魔法が使うのが苦手な子もいる」
…俺達の仲間には、魔導師が多いけど。
中には、アトラスみたいに魔導師じゃない者もいる。
それから、マシュリも厳密には魔導師じゃないし。
令月も、使える魔法は力魔法のみという、魔導師としては非常に偏った存在もいる。
それでも彼らは、れっきとした俺達の仲間だ。かけがえのない仲間。
だけどこの国では、魔導師じゃない人々は酷い差別を受ける。
魔法が使えないアトラスは。マシュリは。
偏った力魔法しか使えない令月は。どんな目に遭う?
彼らが青いカードをぶら下げて、人々に蔑まれて虐げられる姿を想像するだけで、俺は叫び出したくなるほどの憤りを感じた。
「彼らは受け入れてもらえないの?仮に入国したとしても、差別を受けるよね?」
「…」
「他の仲間達だって、魔導師だからって特権階級が欲しいとは思ってないはずだよ。魔導師じゃない人々を差別しようなんて思わないはずだよ」
その通り。
俺の仲間達は誠実だし、平等だ。
例え三食昼寝付きを保証されたって、こんな国に移り住みたいなんて思わないはずだ。
シルナは、そんな目先の欲に目が眩むような奴ではなかった。
…まぁ、チョコレートには目がないけどな。
「…前にも言ったよ。私はいかなる理由があっても、ルーデュニア聖王国から離れたりしないよ」
よく言った。
シルナにとっては、第二の祖国のようなものなのだ。
簡単に離れられるはずがない。
…そして、俺にとっても。
「おぬしが執着しているのはルーデュニア聖王国ではなく、イーニシュフェルト魔導学院であろう」
と、いつも通りイシュメル女王は、扇で口元を隠しながら言った。
「ならば、学院ごと持ってくれば良い。この国に、第二のイーニシュフェルト魔導学院を作れば良いのじゃ」
…学院は、工作か何かじゃないんだぞ。
作るって言ったって…そんなに簡単に出来ることじゃない。
それに、今イーニシュフェルト魔導学院に在学している生徒達はどうなるんだ。
彼らを見捨てて、校舎だけ運んでこいって言うのか?
「優れた魔導学校の創設は、わらわとしても願ってもないこと。最高の環境を用意してやろう」
「…」
「聖賢者殿だけではないぞ。おぬしもじゃ」
と言って、イシュメル女王は俺の方を向いた。
えっ…お、俺?
「魔導師なら、誰でも歓迎じゃ。子飼いの魔導師達も、全員まとめて連れて来るが良い」
「子飼い…って、イレースや…シュニィ達のことか…?」
「あぁ、そうじゃ」
シルナだけじゃなくて。
俺も…イレースや天音達、イーニシュフェルト魔導学院の魔導師も。
それに、聖魔騎士団の魔導師達まで受け入れると。
それはそれは…寛大な申し出じゃないか。
そう言えば、俺達が未練なく移住出来るとでも?
…そのくらいの知恵は回るようだな。
でも、まだ甘い。
「…魔導師じゃなかったら、どうなるの?」
「…なに?」
俺が考えたのと同じことを、シルナが問いかけた。
「私の仲間には、魔導師じゃない子もいるよ。魔法が使うのが苦手な子もいる」
…俺達の仲間には、魔導師が多いけど。
中には、アトラスみたいに魔導師じゃない者もいる。
それから、マシュリも厳密には魔導師じゃないし。
令月も、使える魔法は力魔法のみという、魔導師としては非常に偏った存在もいる。
それでも彼らは、れっきとした俺達の仲間だ。かけがえのない仲間。
だけどこの国では、魔導師じゃない人々は酷い差別を受ける。
魔法が使えないアトラスは。マシュリは。
偏った力魔法しか使えない令月は。どんな目に遭う?
彼らが青いカードをぶら下げて、人々に蔑まれて虐げられる姿を想像するだけで、俺は叫び出したくなるほどの憤りを感じた。
「彼らは受け入れてもらえないの?仮に入国したとしても、差別を受けるよね?」
「…」
「他の仲間達だって、魔導師だからって特権階級が欲しいとは思ってないはずだよ。魔導師じゃない人々を差別しようなんて思わないはずだよ」
その通り。
俺の仲間達は誠実だし、平等だ。
例え三食昼寝付きを保証されたって、こんな国に移り住みたいなんて思わないはずだ。


