ーーーーー…しかし。



遥かルーデュニア聖王国から、天音の切なる思いが俺達に届くことはなく。

俺とシルナは、キルディリア魔王国で完全に足止めを食らっていた。






…キルディリア魔王国にやって来て、もう何日目になるか分からない朝。

「おはようございます、シルナ様。羽久様」

いつも通り、シディ・サクメが客室に俺達を呼びに来た。

…いや、呼びに来た、という表現は間違いだな。

こいつは実質、俺とシルナを監視する為に来たのだ。