神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

…さて。

イシュメル女王はどう出る?

「…サクメよ」

「はい」

何故か、シルナではなく、側近のサクメに声をかけた。

「お客人達を、城下町に案内してやってくれ」

えっ…。

「かしこまりました」

ちょ、かしこまりましたじゃなくて。

「ちょっと待ってくれ。俺達は、用が済んだらさっさと…」

この国から出ていくつもりだったのに。

「なに、そう焦ることはない。折角、遥々この島国までやって来たのじゃ」

イシュメル女王は扇で口元を隠し、呑気に微笑みながら言った。

「ゆるりと過ごして行けば良い」

「ゆるりと、って…そんな暇…」

「大事なお客人を、用が済むなり放り出したとあれば、わらわも一国の王として示しがつかんのじゃ。まぁ、暇潰しに付き合うと思うて」

「…」

そう言われちゃ、なかなか嫌だとは言えない。

けど、そんなことしてる場合じゃないのは分かっていた。

「いや…それでも、俺達はすぐに帰…」

「サクメよ。あとは頼むぞ」

「お任せください」

俺の訴えは無視され、早々に話を切り上げられてしまった。

…この時点で、俺は嫌な予感がしていた。

あるいは、すぐにイシュメル女王の真意に気づいて、強引にでも引き返すべきだったのかもしれない。

だが、俺達の状況はここから、坂を転げ落ちるように悪化していくのである。