「あんなものが締結されてしまえば、我が国も他人事ではいられん。これは守る為の戦争じゃ。わらわには、自国の民を守る義務がある。その為に戦っているのじゃ」
世迷い言を。
詭弁じゃないか。都合の良い言い訳じゃないか。それは。
自国の民を守る義務がる、だと?
よくぞ言えたものだな。
「…自国の民、じゃない。自分の国の魔導師、の間違いだろ」
ついに、俺は黙っていられなくなった。
俺にしては、むしろここまでよく我慢したもんだ。
「…なに?」
イシュメル女王は、ちらりとこちらに視線を向けた。
「アーリヤット皇国にちょっかいをかける前に、少しは自分の国のことを省みたらどうなんだ」
「どういうことじゃ」
「魔導師ばかりを贔屓して、非魔導師の国民を蔑ろにしてることだよ!」
ついに俺は、声を荒げてしまった。
だって、思い出してしまったから。
この国に来てからというもの、魔導師じゃない人々が、どんな風に扱われてきたか。
魔導師じゃないってだけで、予約していたホテルから追い出される。
魔導師じゃないってだけで、家畜車両みたいな窮屈な列車に乗せられる。
魔導師じゃないってだけで、店内で飲食することすら許されず、粗末なものを食べさせられる。
…それに、何より。
子供に魔導適性がないってだけで…親子が無残に引き離された。
俺にはどうしても、あの親子がシュニィと、その愛娘のアイナのように見えてならなかった。
あの、泣き叫んでいた二人の姿がどうしても忘れられない。
あの悲劇を生み出したのは、今俺の目の前にいるイシュメル女王なのだ。
彼女が、非魔導師を差別する国政を行っているから…。
親子を引き離す権利なんて、王様だろうが神だろうが、誰にもない。
「この国で俺達は、魔導師じゃない人達がどんなに酷い扱いを受けているか見てきた。どれもこれも、ルーデュニア聖王国では有り得ないことだった」
いつの間にか、俺は敬語で話すのも忘れていたが。
頭に血が上っていたせいである。
気づいていても、この時ばかりは止められなかったと思う。
「どうしてあんなことをするんだ?フユリ様は決して、相手が魔導師かそうじゃないかで人を差別することはしない。シルナだってそうだ。それなのに、魔導師のあんたが、何であんな酷いことをするんだよ?」
「…」
「魔導師だって、魔導師じゃなくたって…同じ、キルディリア魔王国の国民じゃないか。守るべき国民。…そうじゃないのか?」
あんたは、魔導師の権利を奪わせない為に、アーリヤット皇国に戦争を仕掛けたんだろう?
だったら、非魔導師の権利だって、同じように考えてやれよ。
…しかし。
「…おぬしの国ではどうか知らんが、ここはキルディリア魔王国じゃ。同じ理屈で物を語られては困るな」
「っ…」
女王の返事は、そんな冷たいものだった。
世迷い言を。
詭弁じゃないか。都合の良い言い訳じゃないか。それは。
自国の民を守る義務がる、だと?
よくぞ言えたものだな。
「…自国の民、じゃない。自分の国の魔導師、の間違いだろ」
ついに、俺は黙っていられなくなった。
俺にしては、むしろここまでよく我慢したもんだ。
「…なに?」
イシュメル女王は、ちらりとこちらに視線を向けた。
「アーリヤット皇国にちょっかいをかける前に、少しは自分の国のことを省みたらどうなんだ」
「どういうことじゃ」
「魔導師ばかりを贔屓して、非魔導師の国民を蔑ろにしてることだよ!」
ついに俺は、声を荒げてしまった。
だって、思い出してしまったから。
この国に来てからというもの、魔導師じゃない人々が、どんな風に扱われてきたか。
魔導師じゃないってだけで、予約していたホテルから追い出される。
魔導師じゃないってだけで、家畜車両みたいな窮屈な列車に乗せられる。
魔導師じゃないってだけで、店内で飲食することすら許されず、粗末なものを食べさせられる。
…それに、何より。
子供に魔導適性がないってだけで…親子が無残に引き離された。
俺にはどうしても、あの親子がシュニィと、その愛娘のアイナのように見えてならなかった。
あの、泣き叫んでいた二人の姿がどうしても忘れられない。
あの悲劇を生み出したのは、今俺の目の前にいるイシュメル女王なのだ。
彼女が、非魔導師を差別する国政を行っているから…。
親子を引き離す権利なんて、王様だろうが神だろうが、誰にもない。
「この国で俺達は、魔導師じゃない人達がどんなに酷い扱いを受けているか見てきた。どれもこれも、ルーデュニア聖王国では有り得ないことだった」
いつの間にか、俺は敬語で話すのも忘れていたが。
頭に血が上っていたせいである。
気づいていても、この時ばかりは止められなかったと思う。
「どうしてあんなことをするんだ?フユリ様は決して、相手が魔導師かそうじゃないかで人を差別することはしない。シルナだってそうだ。それなのに、魔導師のあんたが、何であんな酷いことをするんだよ?」
「…」
「魔導師だって、魔導師じゃなくたって…同じ、キルディリア魔王国の国民じゃないか。守るべき国民。…そうじゃないのか?」
あんたは、魔導師の権利を奪わせない為に、アーリヤット皇国に戦争を仕掛けたんだろう?
だったら、非魔導師の権利だって、同じように考えてやれよ。
…しかし。
「…おぬしの国ではどうか知らんが、ここはキルディリア魔王国じゃ。同じ理屈で物を語られては困るな」
「っ…」
女王の返事は、そんな冷たいものだった。


