神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

およそ二時間後。

俺とシルナは、再び王の間に呼び出された。

そこには、昨日はなかった豪奢なクリスタルのテーブルがあり。

イシュメル女王は、そのテーブルの前に座っていた。

…この人、よっぽどクリスタルが好きなんだな。

だからって、そのクリスタルのテーブルはどうかと思うが…。…実用性皆無なのでは?

だが、そんな失礼なことは言えないので。

「イシュメル女王…。お呼びいただき、ありがとうございます」

「なに。わらわも、おぬしらと話がしたかったのじゃ。…昨夜は客人に譲ってやったからのう」

…そうだったな。

「どうぞ」

シディ・サクメが俺達にもクリスタルの椅子を引いて、勧めてきた。

こんな落ち着かない椅子には座りたくない。と言うのが本音だが。

仕方ない。他に座るものないし。

座ってみると、クリスタルチェアは意外と座り心地が良くて、ちょっとびっくりした。

「…こうして同じ卓に着いて話をするのは、本当に久し振りじゃな。聖賢者殿」

イシュメル女王は扇で口元を隠し、シルナの目を真っ直ぐに見ながら言った。

「…そうですね。あれから、お互いに色々とありました」

「ふむ。まぁ、時の流れとはそんなものじゃ」

と言って。

「そんな堅苦しい話は良い。それよりも、何か飲み物はどうじゃ?菓子も用意させよう」

「…それは…」

「昨夜のパーティーでは、折角用意した菓子に手をつけなかったそうじゃな。どうした?遠慮しておるのか」

やめろって。

シルナが、また誘惑に負けたらどうするんだ。

しかし、さすがに今日は、シルナも誘惑には負けなかった。

「自分の国と思って、ゆるりとくつろいで行くと良い。王都の観光でも楽しんだらどうじゃ?」

「…」

「サクメにガイドを頼んでも良いぞ。おぬしらなら、何処にでも…」

「…おためごかしはやめにしましょう。イシュメル女王」

シルナははっきりと、そしてきっぱりと言った。

「キルディリア魔王国は今、戦時中なんでしょう。アーリヤット皇国に宣戦布告したと聞きました」

「…」

そう、それだ。

まずはその話をしなくては。

よく言ったぞ。それでこそシルナだ。

シルナだって、能天気に見えるけど、実際能天気な奴だけど、やる時はやるんだぞ。…一応。

「あっ…。羽久がまた、私に失礼なことを考えてる気が…」

「良いから」

話の腰を折るんじゃねぇよ。続けろ。

「…話を戻すとして、あなたがルーデュニア聖王国に、アーリヤット皇国との戦争の協力を申し出たと、フユリ様に聞きました」

「…ふむ」

「そして、私を特使としてキルディリア魔王国に招待したいと。…そうですよね?」

「いかにも」

良かった。自分の言ったこと、忘れてはいないようだな。