…こいつ、まさか部屋の中を覗いてたんじゃないだろうな?

プライバシーの侵害だぞ。

しかし、サクメは相変わらず、ちっとも悪意を感じさせない人の良い笑顏で。

「よくお休みになれましたか?」

なんて聞いてきた。

畜生…。分かってて聞いてやがるな。

「あぁ…。お陰様でな」

皮肉を込めて言ってやった。

それでも、サクメは涼しい顔でスルー。

「本日は、何かご予定はありますか?」

逆に、そう聞いてきた。

予定だと?

「別に…。…ないけど」

俺達に何の予定があるって言うんだよ。ねーよ。

「そうですか。それでは…イシュメル女王陛下が、折り入ってお二人とお話したいそうです」

「…!」

「いかがでしょうか」

…いかがでしょうか、じゃねぇよ。

むしろそれは、俺達の望むところ。

と言うか、俺達はその為に、この国に来たのだから。

「…もちろん、喜んで」

寝起きではあるが、シルナもさすがに、冷静に答えた。

「そうですか。分かりました…。では、準備が出来次第、お呼びいたします」

「…うん、よろしく」

…じゃあそれまでに、俺達も心の準備を済ませておかないといけないな。

とは言っても、心の準備は、ここに来るまでにもう充分しているけど。