何とも落ち着かない気分で、俺達はその夜のパーティーを過ごした。

途中、シルナは何度もお菓子の誘惑に負けそうになった。

が、その度に俺はシルナの足を踏みつけ、それを押し留めた。

もう何回踏んだか分からねぇよ。

シルナのつま先、多分赤くなってるんじゃないかな。

パーティーの間中、俺達はホッとする暇もないほど、大勢の客に取り囲まれた。

入れ代わり立ち代わり、次から次へと。

いくら俺達が今日の主役とはいえ、こう色んな人に話しかけられたんじゃ落ち着かない。

しかも、相手は金カード持ち。キルディリア魔王国が誇る上級魔導師ばかりなのだ。

いくら同じ魔導師と言えども、キルディリアとルーデュニアではあまりにも環境が違い過ぎて。

…ともあれ。

日付が変わる頃になると、ようやく宴もたけなわ。

パーティーが終わって、俺達はようやく、客室に戻ることが出来た。

それぞれに部屋を用意されていたけれど、俺はシルナの部屋に入り込んだ。

この国で、一人で無防備に眠るのはあまりに不安だったからである。

それに、寝る場所には困らない。

部屋には大きなベッドが二つもあったし、何ならソファベッドまでついていた。

例え寝ている間に何かあったとしても、シルナが隣にいるなら安心出来る。

…俺が見てない間に、シルナが誘惑に負けて。

冷蔵庫の中の大量のお菓子に、手を出してしまうかもしれないしな。

見張りも兼ねて、今夜は同じ部屋で過ごすことにする。

…と言っても、寝るだけなんだが。

昨日、港町のホテルでほとんど眠れなかったこともあり。

俺はその夜、朝までぐっすりと寝入ってしまったのだった。