すぐりは勿論令月も、今ではすっかり馴染み過ぎて、違和感がなくなってしまっているけど。
糸魔法も毒魔法も、あれはジャマ王国で、暗殺用の魔法として発展したものだ。
おおよそ一般的な魔法とは程遠い。
「糸…。糸魔法なんて、何に使うんですか?」
「え、えぇと…」
思い出す。すぐりが糸魔法をどんな風に使っていたか。
さながら、自分の手足のように自由自在に操っていたものだが。
「その…相手を縛ったり…。空中で足場にしたり…」
「…」
「物凄く切れ味が良いから、それで敵を切ったり…」
何なら、毒魔法と組み合わせて。
糸に毒を含ませて、敵の身体に突き刺したり。
少しでも使い方を誤れば、自分の身体さえ傷つけかねない、繊細で扱いの難しい魔法だ。
だけどすぐりは、それらの魔法をいともたやすく…。
…しかし。
「…随分…物騒な魔法があるんですね」
「はっ…」
しまった。困惑させてしまっている。
いくらすぐりの得意魔法とはいえ、暗殺者の魔法を教えるべきじゃなかった。
「でも、さすがルーデュニア聖王国。そんな珍しい魔法の魔導科学も発展してるんですね。素晴らしいです」
褒めてくれてありがとう。
その褒め言葉は俺じゃなくて、是非すぐりに言ってやってくれ。
あと、その魔法はルーデュニアじゃなくて、ジャマ王国が発祥だから。
褒めるならジャマ王国にしてくれ。
…なんて、言える雰囲気じゃないけど…。
…すると、そこに。
再び、会場内に「おぉっ」と声があがった。
何事かと思って、声のした方を見ると。
「みな、楽しんでいるかの?」
「…!イシュメル女王…」
真打ち登場、と言ったところか。
ドレスアップしたイシュメル女王が、シディ・サクメを伴って、パーティー会場にやって来た。
「女王陛下…!ご機嫌麗しゅう」
俺達と話していた老紳士も、ご婦人も、若い女性魔導師も。
女王の姿を見るなり、頭を下げ、身を退いた。
イシュメル女王は扇を手に微笑んでみせた。
「よい、よい。お客人と歓談しておったのだろう」
「は…」
「どうじゃ。間近で見たイーニシュフェルトの聖賢者殿は」
「このような方と話が出来て、とても光栄です」
「生涯の誇りですわ」
…それは言い過ぎだっての。
ほら、褒められ慣れてないシルナが、俺の隣で困ったような顔をしている。
「そうじゃろう。正真正銘、『あの』聖戦を終わらせた聖賢者殿じゃからな」
「…」
何だか含みのある言い方。
…やめてくれよ。本当に。謙遜じゃなくて。
シルナにとっては、思い出したくない過去なんだから。
糸魔法も毒魔法も、あれはジャマ王国で、暗殺用の魔法として発展したものだ。
おおよそ一般的な魔法とは程遠い。
「糸…。糸魔法なんて、何に使うんですか?」
「え、えぇと…」
思い出す。すぐりが糸魔法をどんな風に使っていたか。
さながら、自分の手足のように自由自在に操っていたものだが。
「その…相手を縛ったり…。空中で足場にしたり…」
「…」
「物凄く切れ味が良いから、それで敵を切ったり…」
何なら、毒魔法と組み合わせて。
糸に毒を含ませて、敵の身体に突き刺したり。
少しでも使い方を誤れば、自分の身体さえ傷つけかねない、繊細で扱いの難しい魔法だ。
だけどすぐりは、それらの魔法をいともたやすく…。
…しかし。
「…随分…物騒な魔法があるんですね」
「はっ…」
しまった。困惑させてしまっている。
いくらすぐりの得意魔法とはいえ、暗殺者の魔法を教えるべきじゃなかった。
「でも、さすがルーデュニア聖王国。そんな珍しい魔法の魔導科学も発展してるんですね。素晴らしいです」
褒めてくれてありがとう。
その褒め言葉は俺じゃなくて、是非すぐりに言ってやってくれ。
あと、その魔法はルーデュニアじゃなくて、ジャマ王国が発祥だから。
褒めるならジャマ王国にしてくれ。
…なんて、言える雰囲気じゃないけど…。
…すると、そこに。
再び、会場内に「おぉっ」と声があがった。
何事かと思って、声のした方を見ると。
「みな、楽しんでいるかの?」
「…!イシュメル女王…」
真打ち登場、と言ったところか。
ドレスアップしたイシュメル女王が、シディ・サクメを伴って、パーティー会場にやって来た。
「女王陛下…!ご機嫌麗しゅう」
俺達と話していた老紳士も、ご婦人も、若い女性魔導師も。
女王の姿を見るなり、頭を下げ、身を退いた。
イシュメル女王は扇を手に微笑んでみせた。
「よい、よい。お客人と歓談しておったのだろう」
「は…」
「どうじゃ。間近で見たイーニシュフェルトの聖賢者殿は」
「このような方と話が出来て、とても光栄です」
「生涯の誇りですわ」
…それは言い過ぎだっての。
ほら、褒められ慣れてないシルナが、俺の隣で困ったような顔をしている。
「そうじゃろう。正真正銘、『あの』聖戦を終わらせた聖賢者殿じゃからな」
「…」
何だか含みのある言い方。
…やめてくれよ。本当に。謙遜じゃなくて。
シルナにとっては、思い出したくない過去なんだから。


