神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

めちゃくちゃ聞き覚えのある魔法なんだけど。

読心魔法って…。…ナジュの十八番魔法。

「えっ…じ、じゃあもしかして…今も…」

ナジュみたいに、今も俺とシルナの心の中を覗いているんじゃ、

「いえいえ、まさか。こんな騒がしいところでは、読心魔法なんて使えませんよ」

…えっ。

「あの魔法を使う時は、静かな部屋で落ち着いて…一対一になって行わなくては」

「…あ…」

そう言われて思い出した。

そうだ。前にシルナが言ってたっけ。

読心魔法っていうのは、本来そういうものなのだ。

部屋の中で被験者と一対一になって、しばらく落ち着いて、精神統一して、じっくりと読心魔法を使うことに集中して…。

そしてようやく、相手の心の表層がちらっと見える…程度が、本来の読心魔法。

ナジュみたいに、目の前にいる相手が今考えていることをすぐさま見破る、なんて芸当は出来ない。

ナジュは本当…息をするように読んでくるからな。

あれが異常…って言うか、ナジュが特別なだけで。

他の読心魔法使いは、これくらいが普通なんだっけ…。

駄目だな。読心魔法と言えばナジュのアレで慣れてるから、どうも感覚が麻痺している。

…すると。

「…そういえば、あなた方が運営しているイーニシュフェルト魔導学院の教員にも、読心魔法の使い手がいるそうですな」

ドキッ、とした。

…そう、今まさに、その教員のことを考えていた。

「そ…それは…。…いますけど…」

でも…どうしてそのことを。

「いやぁ、是非お会いしてみたいものですな。きっとお二人と同じく、優秀な魔導師なんでしょうなぁ」

優秀どころか…。…不死身だけど。

やめた方が良いぞ。ナジュと比べると、自分の読心魔法のレベルの低さに絶望して、二度とその魔法、使えなくなりそう。

…すると。

「こんばんは、シルナ様。羽久様」

今度は、ドレス姿のご婦人が声をかけてきた。

シックな青いドレスに、青い髪飾りをつけている。

どうせならネックレスも青にすれば良いのに、ネックレスの代わりに、金色のカードがぶら下がっていた。

…このご婦人も…魔導師。

しかも、とても優秀な…。

「こ、こんばんは…」

「会えて光栄ですわ。ずっとお話してみたかったんです」

「そ…そうですか…」

…この人は…どんな魔法を使うんだろう?

失礼かもしれないけど、つい気になってしまった。

「え、えぇっと…。失礼ですが、あなたはどんな魔法を…?」

「私は、実は召喚魔導師なんです」

「あ…そうなんですね…」

召喚魔導師と言うと…吐月みたいな。

「ルーデュニア聖王国にも、召喚魔導師はいるのでしょう?」

「えぇ…。まぁ」

「是非会ってみたいですわ。きっと優秀なんでしょうね」

そうだな。吐月は優秀だぞ。