神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

落ち着かない部屋で、落ち着かない時間を過ごし。

やがて、再びシディ・サクメが俺達のもとにやって来た。

パーティーの準備が整ったから、会場に来て欲しいとのことだった。

「…うわぁ…」

俺はその会場を見て、思わず感嘆の声をあげてしまった。

連れて行かれた大広間は、ルーデュニア聖王国の宮殿にあるそれよりも、一回り以上大きくて。

これまた女王の趣味なのか、あちこちにクリスタルの装飾が施されていた。

特に、天井に吊り下げられた巨大なクリスタルのシャンデリア。

これまで見たシャンデリアの中で一番大きく、そして一番豪華だった。

一体いくら注ぎ込まれているのか…。と野暮なことを考えてしまうのは、俺が貧乏性なんだろうな。

会場の中には、美しくドレスアップした老若男女が集っていた。

そして、俺とシルナが会場に足を踏み入れるなり。

「皆様。こちらのお二人は、本日の主役でございます」

シディ・サクメが、大きな声でそう宣言した。

会場にいる美しい老若男女が、さっ、とこちらを向いた。

ちょっ…。

「彼らはルーデュニア聖王国から来た特別大使。聖賢者シルナ・エインリー様と、その右腕たる時魔導師、羽久・グラスフィア様です」

サクメが紹介すると、会場の中では「おぉ」と感嘆の声があがった。

「ようこそ、キルディリア魔王国へ。皆様、拍手でお迎えください」

結婚式かよ、と思ったが。

そんな冷静なツッコミを入れる間もなく。

サクメが余計な紹介をしたものだから、会場の老若男女はこちらを向き、万雷の拍手で迎えてくれた。

ちょ、やめろって。

注目されていることに慣れていない俺は、思わずたじろいでしまった。

シルナでさえ、目を白黒させていた。

何だか大層なものになった気分だが、シルナはともかく俺は、全然大したものじゃないから。

シルナの付き添いみたいなものだから。拍手するのやめてくれって。

「さぁ、どうぞお二人共」

「えっ…」

シディ・サクメは笑顔で、会場を手で指した。

「ここにいる人々は全員、お二人を歓迎する為に集まったのです」

「…」

「どうか、心ゆくまでお楽しみください」

…お楽しみください、って言われても。

こんな注目されてたんじゃ、さながら針の筵。

とてもじゃないけど、お楽しみ出来る雰囲気じゃないのだが…?