神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「…それにしても」

と、イシュメル女王は言った。

「おぬしら、列車を使ってファニレスまで来たそうじゃの」

…やっぱり、知ってたのか。

ってことは、列車に乗ってた時点で、女王側は俺達の足取りを掴んでいたのだ。

「我が国に来ることを事前に伝えてくれれば、港町まで迎えをやらせたものを…。黙って来るとは、水臭いではないか」

「…それは…。…申し訳ありません」

「まぁ良い。代わりと言ってはなんじゃが、今夜は大広間で、おぬしらの歓迎パーティーを用意しておる」

か…歓迎パーティーだと?

そこまでされると思っていなかった俺はとシルナは、驚いて互いに顔を見合わせた。

「いえ、そんな…。我々は、フユリ女王の使いとしてこの国に来たのであって…」

楽しくパーティーに興じる為に来たのではない。

と、言外に伝えようとしたのだが…。

「遠慮するでない。大事な賓客じゃ。もてなさねば、我が国の威厳に関わる。…サクメよ」

「は」

「お客人を部屋に案内するのじゃ。長旅でお疲れであろう。歓迎パーティーまでの時間、ゆっくり休ませてやるのじゃ」

「かしこまりました」

ちょ…。…勝手に。

さっさと肝心な話を済ませて、さっさとこの国を出ていくつもりだったのに。

「シルナ様、羽久様、こちらに」

シディ・サクメが俺達を促した。

…でも…。

なおも躊躇う俺に、シルナが小声で話しかけてきた。

「…羽久」

「…!シルナ…」

「ここは、一旦堪えて」

「…。…分かったよ」

何から何まで、イシュメル女王のペースに乗せられているようで気に食わない。

しかし、今は素直に乗ってやるよ。