シディ・サクメに案内され、俺達は偽クリスタル宮殿…ファニレス王宮に足を踏み入れた。
外から見ると、あんなに美しくて幻想的な建物だったのに。
王宮の中に一歩入ると、そこはクリスタルでも何でもない、普通の建物だった。
…見掛け倒しってのは、こういうことを言うんだな。
別に良いじゃないか。王宮がどんな形でも。大きさでも。
何で、わざわざ無駄な魔力を使って、クリスタル王宮に見せる必要があるのか。
見えっ張りなのか?
ありのままの姿でいろよ。
言ってやりたいことは様々あったが、俺達はシディ・サクメに連れて行かれ。
真っ直ぐに、王の間…。女王のもとに案内された。
途中、廊下で何人かの使用人とすれ違った。
いずれも彼らは、銀色のカードを首から提げていて。
シディ・サクメと俺達が通る度に、足を止め、手を止めて、深々と頭を下げてきた。
俺とシルナは、その度に会釈して答えたが。
シディ・サクメは片手を上げて、まるで上司が部下に挨拶するような、横柄な態度だった。
金カード持ちとはいえ、お前だって使用人の一人だろうに…。
いくら異国人の俺達に対しては、礼儀正しいとはいえ。
自分の部下に対してこの態度は、どうも腹立たしいな。
…やがて、俺達は王の間の扉の前に連れて行かれた。
シディ・サクメは、自らその分厚い扉を押し開いた。
「陛下。…ルーデュニア聖王国の特使様をお連れしました」
「…よく来たの、聖賢者シルナ・エインリー。そして羽久・グラスフィアよ」
王の間には、城と同じくクリスタルで出来た立派な玉座が置いてあって。
キルディリア魔王国の女王は、その玉座に座って俺達を待っていた。
…この女王、水晶が好きなのか。
城は見掛け倒しの幻覚魔法だったが、玉座は本物のクリスタルだった。
「久しいのう、イーニシュフェルトの聖賢者よ。相見えるのはいつ以来じゃったか」
「…ご無沙汰しております。…イシュメル女王」
俺とシルナは、玉座の前に跪いた。
そこに座るのは、キルディリア魔王国女王、イシュメル・ラニア・キルディリア。
彼女もまた、長き時を生きる優秀な魔導師だと聞いている。
「壮健そうで何よりじゃ。再び会えるのを楽しみにしておったぞ」
「…私もです。イシュメル女王」
「…で、おぬしが羽久・グラスフィアか」
イシュメル女王が、シルナの隣に跪く俺に声をかけた。
…げ。
「噂には聞いておったが、こうして会うのは初めてじゃな」
「…お会い出来て光栄です」
「うむ。おぬしにも、いつか会って話をしてみたいと思っておった」
えっ。
シルナはともかく、俺まで…?
「聖賢者シルナ・エインリーの右腕。ルーデュニア聖王国イチの時魔法使いと聞いておる」
「…そんなことは…」
「謙遜せずとも良い。我が国でも時魔法の研究は進められているが、まだまだ未発達じゃ。おぬしのような時魔法使いは珍しい」
「…」
「是非とも、ゆっくりと話を聞いてみたいものじゃ」
「…恐れ入ります」
俺は、深々と頭を下げた。
…俺自身はあまり、あんたと話をする気にはなれないけどな。
外から見ると、あんなに美しくて幻想的な建物だったのに。
王宮の中に一歩入ると、そこはクリスタルでも何でもない、普通の建物だった。
…見掛け倒しってのは、こういうことを言うんだな。
別に良いじゃないか。王宮がどんな形でも。大きさでも。
何で、わざわざ無駄な魔力を使って、クリスタル王宮に見せる必要があるのか。
見えっ張りなのか?
ありのままの姿でいろよ。
言ってやりたいことは様々あったが、俺達はシディ・サクメに連れて行かれ。
真っ直ぐに、王の間…。女王のもとに案内された。
途中、廊下で何人かの使用人とすれ違った。
いずれも彼らは、銀色のカードを首から提げていて。
シディ・サクメと俺達が通る度に、足を止め、手を止めて、深々と頭を下げてきた。
俺とシルナは、その度に会釈して答えたが。
シディ・サクメは片手を上げて、まるで上司が部下に挨拶するような、横柄な態度だった。
金カード持ちとはいえ、お前だって使用人の一人だろうに…。
いくら異国人の俺達に対しては、礼儀正しいとはいえ。
自分の部下に対してこの態度は、どうも腹立たしいな。
…やがて、俺達は王の間の扉の前に連れて行かれた。
シディ・サクメは、自らその分厚い扉を押し開いた。
「陛下。…ルーデュニア聖王国の特使様をお連れしました」
「…よく来たの、聖賢者シルナ・エインリー。そして羽久・グラスフィアよ」
王の間には、城と同じくクリスタルで出来た立派な玉座が置いてあって。
キルディリア魔王国の女王は、その玉座に座って俺達を待っていた。
…この女王、水晶が好きなのか。
城は見掛け倒しの幻覚魔法だったが、玉座は本物のクリスタルだった。
「久しいのう、イーニシュフェルトの聖賢者よ。相見えるのはいつ以来じゃったか」
「…ご無沙汰しております。…イシュメル女王」
俺とシルナは、玉座の前に跪いた。
そこに座るのは、キルディリア魔王国女王、イシュメル・ラニア・キルディリア。
彼女もまた、長き時を生きる優秀な魔導師だと聞いている。
「壮健そうで何よりじゃ。再び会えるのを楽しみにしておったぞ」
「…私もです。イシュメル女王」
「…で、おぬしが羽久・グラスフィアか」
イシュメル女王が、シルナの隣に跪く俺に声をかけた。
…げ。
「噂には聞いておったが、こうして会うのは初めてじゃな」
「…お会い出来て光栄です」
「うむ。おぬしにも、いつか会って話をしてみたいと思っておった」
えっ。
シルナはともかく、俺まで…?
「聖賢者シルナ・エインリーの右腕。ルーデュニア聖王国イチの時魔法使いと聞いておる」
「…そんなことは…」
「謙遜せずとも良い。我が国でも時魔法の研究は進められているが、まだまだ未発達じゃ。おぬしのような時魔法使いは珍しい」
「…」
「是非とも、ゆっくりと話を聞いてみたいものじゃ」
「…恐れ入ります」
俺は、深々と頭を下げた。
…俺自身はあまり、あんたと話をする気にはなれないけどな。


