神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

旅の気疲れからか、俺はその後、少し眠ってしまっていたようだ。

「…羽久、起きて。そろそろ着くよ」

「…ん…」

シルナに起こされて、俺は目を覚ました。

…しまった。いつの間にか寝てたのか。

…3等車では人々がすし詰めになって、とても眠ることなんて出来ない状態だというのに。

俺が眠りこけるなんて、情けない気持ちだった。

だけど、呑気に眠ったり、くつろいでいるのは俺だけではない。

2等車に乗車している多くの人々が、リラックスした様子でくつろいでいた。

サービスの飲み物を飲んだり、俺みたいにシートに身体を預けて、うたた寝をしていたり…。

…。

「…大丈夫?羽久」

「…あぁ…。ごめん、俺だけ寝ちゃって…」

「良いんだよ。私も少しは休めたから」

…そうか。

シルナに気遣われると、何だか凄く申し訳ない気分になる。

今のところ俺は、シルナの付き添いのはずが、逆にシルナの足を引っ張ってばかりだ。

そんな情けない自分、不甲斐ない自分が心底嫌になった。

しかし、シルナはそんなこと、まったく気にしていないようで。

「いよいよ、王都ファニレスだよ。…覚悟は良い?」

「あぁ」

この国に来てから、俺は色々なものを見た。

これから王都ファニレスで、そして王宮で何を見ようとも、驚かないし、狼狽えたりしない。

…と、言い切るのは自信がないが、努力はしよう。

少なくとも、シルナの足を引っ張らないようにしよう。

俺はそう、心に決めた。