俺達はその後、ホームにやって来たファニレス行きの列車に乗り込んだ。
列車は10両編成で、一番前の1両のみが1等車、後ろの2両が3等車。
残る真ん中の7両は、全部2等車だった。
これを見る限り、ゴールドカード…上級魔導師とみなされる国民は、随分と少ないらしい。
俺達は当然、許可された2等車に乗り込んだ。
2等車ではあるけれど、座席はそれなりに広くて綺麗だし、座り心地も良かった。
ここでもドリンクの無料サービスがあるようで、列車が走り出すと、飲み物とちょっとしたおやつが配られた。
嬉しいサービスなのかもしれないけど、朝から紅茶やコーヒーを既に飲んでいるので、もう水分は欲しくない。
それに何より、列車に乗っている間中、3等車のことが気になって仕方なかった。
2等車はとても快適だけど、この国の性質上、3等車はもしかして…。
どうしても気になった俺は、こっそり、乗るべき車両を間違えたフリをして、3等車の様子を覗きに行った。
そして、それを見たことを後悔した。
「…」
俺はがっくりと肩を落としながら、自分の席に戻ってきた。
「羽久…。…どうだった?」
「…酷いもんだったよ」
座席に残ってきたシルナに、俺は自分の見てきた光景を話した。
3等車には、青いカードを首にぶら下げた人々が、ほとんどすし詰め状態でだった。
2等車はまだまだ座席に余裕があるのに、3等車には座る場所さえない。
赤ん坊を抱いた女性が、天井に吊り下がった吊り革を手に、辛そうに踏ん張って立っていた。
思わず、2等車に来てください、って言いそうになった。
せめて3等車の車両、もっと増やしてあげれば良いのに。
王都まであの状態なんて、酷過ぎる。
この惨状を訴えると、シルナも沈鬱な表情だった。
「そっか…。…それなら、きっと1等車は、ここよりももっと豪華なんだろうね」
「あぁ…だろうな」
3等車と2等車で、ここまで大きな差があるのだ。
1等車はきっと…。…玉座でも置いてあるんじゃねぇの?
マジで。誇張じゃなくて。それくらいやっててもおかしくない。
…見てみようとは思わないけどな。
「…はぁ…」
俺は座席に身を預け、深々と溜め息をついた。
「…羽久。大丈夫?少し休んだ方が良いよ」
シルナは、心配そうに俺を見つめていた。
「この国に来てから、ほとんど寝てないでしょ」
「…それはシルナもだろ」
寝てないのはお互い様だ。
…疲れてるのも。
「羽久は、この国に来たのは初めてだから…」
そういや、シルナは昔、一回来たことがあるんだっけ…。
「…シルナ。この国は前からこうなのか?ずっと昔から…?」
「…ううん。少なくとも、私が以前来た時は…。…確かに非魔導師のことを見下してはいたけれど…。ここまで露骨な差別はしてなかった」
「…」
そうだったのか。
だよな。シルナだって、魔導師証明書の発行、なんて制度があることを知らなかった。
シルナが以前この国に来た時はまだ、こんなクソったれみたいな制度はなかったのだ。
「ここまで酷くなってるなんて…思わなかったよ」
「…そうか…」
「…生きづらいだろうね。この国は。…非魔導師の人々も、それに…魔導師の人々も」
「…同感だよ」
俺は魔導師だけど。この国では優遇される立場だけど。
それでも俺は、こんな息苦しい国で暮らしたいとは思わなかった。
列車は10両編成で、一番前の1両のみが1等車、後ろの2両が3等車。
残る真ん中の7両は、全部2等車だった。
これを見る限り、ゴールドカード…上級魔導師とみなされる国民は、随分と少ないらしい。
俺達は当然、許可された2等車に乗り込んだ。
2等車ではあるけれど、座席はそれなりに広くて綺麗だし、座り心地も良かった。
ここでもドリンクの無料サービスがあるようで、列車が走り出すと、飲み物とちょっとしたおやつが配られた。
嬉しいサービスなのかもしれないけど、朝から紅茶やコーヒーを既に飲んでいるので、もう水分は欲しくない。
それに何より、列車に乗っている間中、3等車のことが気になって仕方なかった。
2等車はとても快適だけど、この国の性質上、3等車はもしかして…。
どうしても気になった俺は、こっそり、乗るべき車両を間違えたフリをして、3等車の様子を覗きに行った。
そして、それを見たことを後悔した。
「…」
俺はがっくりと肩を落としながら、自分の席に戻ってきた。
「羽久…。…どうだった?」
「…酷いもんだったよ」
座席に残ってきたシルナに、俺は自分の見てきた光景を話した。
3等車には、青いカードを首にぶら下げた人々が、ほとんどすし詰め状態でだった。
2等車はまだまだ座席に余裕があるのに、3等車には座る場所さえない。
赤ん坊を抱いた女性が、天井に吊り下がった吊り革を手に、辛そうに踏ん張って立っていた。
思わず、2等車に来てください、って言いそうになった。
せめて3等車の車両、もっと増やしてあげれば良いのに。
王都まであの状態なんて、酷過ぎる。
この惨状を訴えると、シルナも沈鬱な表情だった。
「そっか…。…それなら、きっと1等車は、ここよりももっと豪華なんだろうね」
「あぁ…だろうな」
3等車と2等車で、ここまで大きな差があるのだ。
1等車はきっと…。…玉座でも置いてあるんじゃねぇの?
マジで。誇張じゃなくて。それくらいやっててもおかしくない。
…見てみようとは思わないけどな。
「…はぁ…」
俺は座席に身を預け、深々と溜め息をついた。
「…羽久。大丈夫?少し休んだ方が良いよ」
シルナは、心配そうに俺を見つめていた。
「この国に来てから、ほとんど寝てないでしょ」
「…それはシルナもだろ」
寝てないのはお互い様だ。
…疲れてるのも。
「羽久は、この国に来たのは初めてだから…」
そういや、シルナは昔、一回来たことがあるんだっけ…。
「…シルナ。この国は前からこうなのか?ずっと昔から…?」
「…ううん。少なくとも、私が以前来た時は…。…確かに非魔導師のことを見下してはいたけれど…。ここまで露骨な差別はしてなかった」
「…」
そうだったのか。
だよな。シルナだって、魔導師証明書の発行、なんて制度があることを知らなかった。
シルナが以前この国に来た時はまだ、こんなクソったれみたいな制度はなかったのだ。
「ここまで酷くなってるなんて…思わなかったよ」
「…そうか…」
「…生きづらいだろうね。この国は。…非魔導師の人々も、それに…魔導師の人々も」
「…同感だよ」
俺は魔導師だけど。この国では優遇される立場だけど。
それでも俺は、こんな息苦しい国で暮らしたいとは思わなかった。


