神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

その後、俺は決してキルディリア魔王国の飲食店には立ち寄らなかった。

さっさと、この忌まわしい港町を出たかった。

だけど、これは港町に限った出来事ではないということを、俺は嫌と言うほど思い知らされることになる。

というのも、俺達はキルディリア魔王国、王都ファニレスに向かう為に、列車に向かったのだが…。






まずは王都行きの列車に乗る為に、切符を買いに、駅の有人券売所に向かった。

「えっと、王都行き、大人を二枚分お願いしたいんですが…」

「はい。お客様、魔導師証明書はお持ちですか?」

「…」

出た。またこの質問。

「…ありますけど」

俺は、首から提げているオレンジ色のカードを提示した。

「あぁ、旅行中のお客様ですね。えぇと…それなら…王都ファニレスまで、お二人で◯◯円になります」

「あ、はい。どうも」

俺はシルナと二人分、切符を購入した。

…これで良し、っと…。

「では、こちらをどうぞ」

お金を払うと、駅員さんが二枚の切符を渡してくれた。

…奇妙なことに、その切符には、赤いインクで「2」というスタンプが押されていた。

…。…2?

「…この、2、って何なんですか?」

「お客様は2等車に乗車出来る、という意味です」

「…2等車…?」

何それ。

「キルディリア魔王国の鉄道では、列車は1等車、2等車、3等車の3種類に分かれています。持っている魔導師証明書の色で、座席の等級が変わります」

「…!」

「ゴールドカード、つまり上級魔導師のお客様のみ、1等車に座ることが出来ます。シルバーカード、一般魔導師のお客様が2等車…」

「…じゃあ、3等車は?」

何となく、大体予想は出来ていたけれど。

俺は、そう聞かずにはいられなかった。

すると、その答えは案の定。

「3等車は青カード、非魔導師の乗る席です」

…やっぱり。

大昔の外国の列車みたいに、乗る場所が決められているなんて。

そんなの何処だって良いじゃないか。何処に座ったって。

俺の顔が引き攣っているのを見て、駅員は何を誤解したのか。

「ご安心ください。オレンジカードはシルバーカードと同じ扱いですから。3等車に乗る必要はありませんよ」

笑顔でそう言ってくれたが、俺が気にしてるのはそういうことじゃない。

「それでは、王都ファニレスまで素敵な旅をお楽しみください」

「…そりゃ、どうも」

俺は不満げな顔を隠すこともなく、くるりと踵を返した。

…もううんざりだ。

さっさと用を済ませて、一刻も早くこの国から出ていきたかった。