「あの…。外で、立って食べてる人がいるじゃないですか。たくさん…」
「はい…」
「あの人達が食べてる、お粥みたいな食べ物が気になって…。…あれは、お店の中では食べられないんですか?」
と、シルナが丁寧に尋ねた。
すると、店員さんは笑い出した。
…客を笑うとは良い度胸だな、おい。
「お客様、あれは青カードの食べ物ですよ。魔導師の食べるものじゃありません」
「え…?」
「あのお粥は、無能な非魔導師の為に政府が栄養バランスを考えて作った、青カード専用のエサなんです」
「…」
俺も、シルナも絶句した。
そして、気づいた。
外でお粥を食べていた人達。
あの人達が首から提げていたのは、青いカードだった。
そして、このお店の中。
そこで優雅に紅茶のおかわりをしていた男性も、向こうで朝から焼き立てクロワッサンを頬張る女性も。
目の前にいる店員さんも、提げているのはシルバーのカード。
つまりここは、魔導師専用のお店なのだ。
魔導師だけが、お店の中で、席に座って、サービスの紅茶をおかわり自由で淹れてもらって。
魔導師だけが、トーストやパンケーキやサンドイッチや、たくさんのメニューの中から好きなものを選ぶことが出来る。
だけど…魔導師じゃない人は。
店の中で座ることも許されず、まるで給食を配布されるみたいに、政府が決めたメニュー…雑穀を入れたお粥…を、立ち食いしている。
そんなことまで、差をつけなきゃいけないのか?
良いじゃないか。魔導師がお粥を食べたって。非魔導師がお店の中で紅茶を飲んだって。
何で…そんなことまで、差をつけて…。
「…」
「…?お客様、どうかされましたか?」
…どうかされましたか、はこちらの台詞だ。
正直、今すぐ席を立って出ていきたかった。
そして、首から提げている、このオレンジ色のカードを引き裂いて、ゴミ箱に叩き込んでやりたかった。
でも出来なかった。
これじゃ、昨日と同じだ。
この国の文化に、この国の決まりに抗うことは出来ない。
俺達は、ただの異国人でしかないのだから。
「…」
「…羽久…」
俺が、必死に堪えているのを察したのだろう。シルナが気遣って声をかけてくれたが…。
「…俺は…」
「お客様、ご注文はいかがされますか?」
困り顔の店員さんが、改めてそう聞いてきた。
「…。すみません。…食欲ないので…。コーヒーだけで…」
「あ、えと…。じゃあ私は、ホットミルクだけ…」
俺はシケた注文だけをして、シルナもそれに倣った。
「は、はい…かしこまりました」
お粥を欲しがってたかと思うと、今度はコーヒーとホットミルクだけ、なんて。
変な客だなと思ってたに違いないが、注文を受けてくれた。
その後届いたコーヒーも、シルナのホットミルクも、なんと1杯分の値段でおかわり自由、というサービス精神の旺盛さだったが。
俺達はその1杯しか飲まなかったし、しかも、何の味も感じられなかった。
「はい…」
「あの人達が食べてる、お粥みたいな食べ物が気になって…。…あれは、お店の中では食べられないんですか?」
と、シルナが丁寧に尋ねた。
すると、店員さんは笑い出した。
…客を笑うとは良い度胸だな、おい。
「お客様、あれは青カードの食べ物ですよ。魔導師の食べるものじゃありません」
「え…?」
「あのお粥は、無能な非魔導師の為に政府が栄養バランスを考えて作った、青カード専用のエサなんです」
「…」
俺も、シルナも絶句した。
そして、気づいた。
外でお粥を食べていた人達。
あの人達が首から提げていたのは、青いカードだった。
そして、このお店の中。
そこで優雅に紅茶のおかわりをしていた男性も、向こうで朝から焼き立てクロワッサンを頬張る女性も。
目の前にいる店員さんも、提げているのはシルバーのカード。
つまりここは、魔導師専用のお店なのだ。
魔導師だけが、お店の中で、席に座って、サービスの紅茶をおかわり自由で淹れてもらって。
魔導師だけが、トーストやパンケーキやサンドイッチや、たくさんのメニューの中から好きなものを選ぶことが出来る。
だけど…魔導師じゃない人は。
店の中で座ることも許されず、まるで給食を配布されるみたいに、政府が決めたメニュー…雑穀を入れたお粥…を、立ち食いしている。
そんなことまで、差をつけなきゃいけないのか?
良いじゃないか。魔導師がお粥を食べたって。非魔導師がお店の中で紅茶を飲んだって。
何で…そんなことまで、差をつけて…。
「…」
「…?お客様、どうかされましたか?」
…どうかされましたか、はこちらの台詞だ。
正直、今すぐ席を立って出ていきたかった。
そして、首から提げている、このオレンジ色のカードを引き裂いて、ゴミ箱に叩き込んでやりたかった。
でも出来なかった。
これじゃ、昨日と同じだ。
この国の文化に、この国の決まりに抗うことは出来ない。
俺達は、ただの異国人でしかないのだから。
「…」
「…羽久…」
俺が、必死に堪えているのを察したのだろう。シルナが気遣って声をかけてくれたが…。
「…俺は…」
「お客様、ご注文はいかがされますか?」
困り顔の店員さんが、改めてそう聞いてきた。
「…。すみません。…食欲ないので…。コーヒーだけで…」
「あ、えと…。じゃあ私は、ホットミルクだけ…」
俺はシケた注文だけをして、シルナもそれに倣った。
「は、はい…かしこまりました」
お粥を欲しがってたかと思うと、今度はコーヒーとホットミルクだけ、なんて。
変な客だなと思ってたに違いないが、注文を受けてくれた。
その後届いたコーヒーも、シルナのホットミルクも、なんと1杯分の値段でおかわり自由、というサービス精神の旺盛さだったが。
俺達はその1杯しか飲まなかったし、しかも、何の味も感じられなかった。


