神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

さて、紅茶も良いけれど。

「メニューを見よう…」

俺は、店員さんが持ってきてくれたメニュー表を開いた。

えぇと、さっき外でみんなが食べていたお粥は…。

…。

…あれ?

「…?お粥、ないね…」

「…あぁ…」

どのページを開いても、さっき外でキルディリア国民が食べていたようなお粥は、メニューに載っていなかった。

メニューにあるのは、トーストと目玉焼きセット、などの定番のモーニングメニューや。

パンケーキ、クレープ、ガレットなどの、何やらお洒落なモーニング。

クロワッサンや、サンドイッチ、自家製オムレツ付きのワッフル、なんてメニューもある。

どれも美味しそうだけど…。…美味しそうではあるんだけど。

俺達、さっき外で見たお粥を食べたかったんだが…?

…もしかしてこの店、あのお粥売ってない?

違う店に入ってしまったんだろうか。

いや、でも。このお店の前で食べてる人もいたよな…?

…どういうことだ。これは。

首を捻っていると、シルナがとあることに気づいた。

「…ねぇ、羽久。ここで食べてる人達…」

「え?」

「お店の中でお粥食べてる人、1人もいないね」

「…」

言われて、店内をぐるりと見渡してみると。

シルナの言う通り。店内でお粥を食べてる人は、一人もいなかった。

一歩外に出れば、あんなに立ち食いお粥している人がたくさんいるのに。

お店の中で飲食している人は、メニューにあったパンケーキや、ワッフルや、トーストを食べている。

勿論、サービスの紅茶と一緒に。

「…あのお粥ってもしかして、テイクアウト限定メニューなのかな」

「あっ…。…成程…」

そういうことだったのか。

そうと知らず、席に座っちゃったよ。俺達。

おまけに、サービスの紅茶まで飲んでしまった。

今更、お粥食べたいので外で食べます、は無理だよな?

店内でお粥食べても良いじゃん。何でテイクアウト限定…?

すると、そこに。

「…お客様。ご注文はお決まりですか?」

「あっ…」

なかなか注文しない俺達に痺れを切らしたのか、店員さんが声をかけてきた。

どうしよう。聞いてみるべきか?聞いてみるべきだよな?

「あのー…。俺達、お粥を…」

「えっ?」

「外でみんなが食べてるお粥を食べてみたかったんですが…。…あれって、テイクアウト限定なんですか?お店の中で食べらないんですか?」

「…」

俺の質問に、思ってもみなかったみたいな顔をして。

店員さんは、びっくりして目を見開いていた。

…俺、そんな変なこと言ったか?

…しかし。

今度は、俺達が驚く番だった。

「え…。もしかして、青カードのエサを食べたいんですか?」

「は?」

え…。…エサ?

飲食店におよそ相応しくない言葉を聞いたような気がする。