グレードが下がる、とは言っていたものの。
確かに建物自体は少し古かったけど、フロントは結構綺麗だった。
充分、上等なホテルじゃん。
頼むぞ。最後の綱。
恐る恐る、フロントに話しかける。
「ようこそ。いらっしゃいませ」
「あの…すみません、部屋、空いてます?」
「はい。少々お待ちくださいね…」
手元の宿泊者名簿を確認するフロント係。
すると、フロント係は顔をしかめた。
あっ、これはダメな予感。
「そうですね…。…ちょっと、今日は部屋がいっぱいで…」
「あ…」
…やっぱり?
駄目だったか…。最後の希望だったのに。
…しかし。
「…ですが…。…お客様、魔導師証明者はお持ちですか?」
「え?あ、はい…これ…」
俺は、首に提げていたネームホルダーを見せた。
さっきもらったばかりのオレンジ色のカードを。
…すると。
「オレンジカードのお客様ですね…。それでしたら…」
何やら、手元の名簿をゴソゴソ。
「…?」
「…はい、大丈夫です。お部屋、お取り出来ました」
「えっ?」
良いの?
「さっき、空いてないって…」
「大丈夫です。こちらで都合致しますので」
「…??」
…よく分からないけど、やっぱり空いてたってこと?
「お部屋の支度に少し時間がかかりますので、ロビーでお待ちいただけますか?」
「あ、はい…」
「準備が出来たら、すぐにお呼びしますね」
「…」
釈然としないながらも、何とか今日の宿を確保。
良かった。ちゃんと屋根のあるところで眠れそうだ。
「よく分からないけど…。…待ってりゃ良いんだよな?」
「うん…」
俺とシルナは、ロビーに置いてあるソファに腰を下ろした。
安心したけど、何だか腑に落ちないって言うか…。
…すると。
「おい!これは一体どういうことだよ!?」
背後から、突然男性の激高する声が聞こえて。
慌てて振り向くと、男性が数人のホテルスタッフに引き摺られるようにして、連れ出されているところだった。
な、何だあれは?
「良いから、さっさと出て行け!」
男性を半ば突き飛ばして、彼のスーツケースを乱暴に投げ出した。
「俺は客だぞ!?一ヶ月も前から予約してたんだ!何で追い出されなきゃいけないんだ!?」
お、追い出される…!?
「このホテルは、魔導師が優先なんだ。青カードは出て行け!」
「ふざけるな!俺はこの国の人間じゃない。出張で来ただけだ!明日、取引先との大切な会議が…」
「外国人だろうと、所詮無能な青カードなんだろう?知ったことか。段ボールハウスにでも泊まってろ!」
ホテルスタッフは冷たくそう言い放ち、顎をしゃくって、「出て行け」と促した。
そのホテルスタッフの首には、シルバーの証明書がかかっていた。
「畜生!これだから、キルディリアの出張なんて嫌だったんだ…!」
その男性は、吐き捨てるようにそう言ってから。
スーツケースのハンドルを掴んで、ホテルから出ていった。
…もう、外は暗くなり始めているのに。
オレンジカードを持つ俺達でさえ、泊まるホテルを探すのにあんなに苦労したのに。
非魔導師の彼が、果たして今からホテルを探して見つかるのだろうか。
それに…それに。
「シルナ、これって、もしかして…」
俺達は同時に同じことを考えていて、互いに青ざめた顔を見合わせた。
確かに建物自体は少し古かったけど、フロントは結構綺麗だった。
充分、上等なホテルじゃん。
頼むぞ。最後の綱。
恐る恐る、フロントに話しかける。
「ようこそ。いらっしゃいませ」
「あの…すみません、部屋、空いてます?」
「はい。少々お待ちくださいね…」
手元の宿泊者名簿を確認するフロント係。
すると、フロント係は顔をしかめた。
あっ、これはダメな予感。
「そうですね…。…ちょっと、今日は部屋がいっぱいで…」
「あ…」
…やっぱり?
駄目だったか…。最後の希望だったのに。
…しかし。
「…ですが…。…お客様、魔導師証明者はお持ちですか?」
「え?あ、はい…これ…」
俺は、首に提げていたネームホルダーを見せた。
さっきもらったばかりのオレンジ色のカードを。
…すると。
「オレンジカードのお客様ですね…。それでしたら…」
何やら、手元の名簿をゴソゴソ。
「…?」
「…はい、大丈夫です。お部屋、お取り出来ました」
「えっ?」
良いの?
「さっき、空いてないって…」
「大丈夫です。こちらで都合致しますので」
「…??」
…よく分からないけど、やっぱり空いてたってこと?
「お部屋の支度に少し時間がかかりますので、ロビーでお待ちいただけますか?」
「あ、はい…」
「準備が出来たら、すぐにお呼びしますね」
「…」
釈然としないながらも、何とか今日の宿を確保。
良かった。ちゃんと屋根のあるところで眠れそうだ。
「よく分からないけど…。…待ってりゃ良いんだよな?」
「うん…」
俺とシルナは、ロビーに置いてあるソファに腰を下ろした。
安心したけど、何だか腑に落ちないって言うか…。
…すると。
「おい!これは一体どういうことだよ!?」
背後から、突然男性の激高する声が聞こえて。
慌てて振り向くと、男性が数人のホテルスタッフに引き摺られるようにして、連れ出されているところだった。
な、何だあれは?
「良いから、さっさと出て行け!」
男性を半ば突き飛ばして、彼のスーツケースを乱暴に投げ出した。
「俺は客だぞ!?一ヶ月も前から予約してたんだ!何で追い出されなきゃいけないんだ!?」
お、追い出される…!?
「このホテルは、魔導師が優先なんだ。青カードは出て行け!」
「ふざけるな!俺はこの国の人間じゃない。出張で来ただけだ!明日、取引先との大切な会議が…」
「外国人だろうと、所詮無能な青カードなんだろう?知ったことか。段ボールハウスにでも泊まってろ!」
ホテルスタッフは冷たくそう言い放ち、顎をしゃくって、「出て行け」と促した。
そのホテルスタッフの首には、シルバーの証明書がかかっていた。
「畜生!これだから、キルディリアの出張なんて嫌だったんだ…!」
その男性は、吐き捨てるようにそう言ってから。
スーツケースのハンドルを掴んで、ホテルから出ていった。
…もう、外は暗くなり始めているのに。
オレンジカードを持つ俺達でさえ、泊まるホテルを探すのにあんなに苦労したのに。
非魔導師の彼が、果たして今からホテルを探して見つかるのだろうか。
それに…それに。
「シルナ、これって、もしかして…」
俺達は同時に同じことを考えていて、互いに青ざめた顔を見合わせた。


