まだ、キルディリア魔王国に着いたばかりだというのに。
船酔いなんかよりも遥かに、陰鬱な気分にさせられた。
助けてあげたいのは山々だったが、俺達にはどうすることも出来なかった。
ただ、黙って見ていることしな出来ない。
俺達は、魔導師証明書とやらを発行するまでの間、待合室に通された。
待合室と言っても、立派なソファが置いてあって、テーブルまであって。
「お飲み物はいかがですか?」
俺達が席に着くなり、職員がにこやかに声をかけてきた。
「え…いえ、あの…」
「軽食もありますので、ご用意しますね」
と言って、頼んでもいないのに、淹れ立ての紅茶と軽食…お皿に乗せたサンドイッチを運んできた。
…その気遣いは有り難いだけど、とても飲み食い出来るような心情じゃない。
シルナも、少し紅茶を啜っただけで、サンドイッチには手を付けなかった。
「…」
「…」
お互い何も言わず、待つこと1時間と少し。
待合室に、さっきとは別の職員さんが入ってきた。
「お待たせ致しました。魔導師証明書が完成しました」
「あ、はい…」
職員さんは俺とシルナに、それぞれオレンジ色の証明書と、新品のネームホルダーを手渡してきた。
…これが、魔導師証明書…?
「滞在中、外に出る時は、例えホテルの廊下であっても、この証明書を首から提げておくことを忘れないようにしてください」
とのこと。
「え…。…ずっと首から掛けてなきゃいけないのか?これ」
「はい、お願いします。万が一忘れたりすると、非魔導師…『青カード』扱いされてしまうこともあるので」
「…青カード…?」
聞いたことのない言葉が出てきて、首を傾げると。
国境検問所の職員さんは、笑顔で教えてくれた。
「カードの色は、魔導師と非魔導師で違うんです。魔導師のキルディリア国民はシルバー、特に優秀な魔導師はゴールド。魔導師の旅行者はオレンジ…」
あ、それで俺達の証明書はオレンジ色なんだ。
シルバーだのゴールドだのって…マシュリの好きな猫缶かよ。
「そして、魔導適性がない者に関しては、非魔導師であることを証明する青い証明書を携帯することになります」
「…青…」
「はい。青カードですと利用出来ない施設や、同じ施設でも青カードのみ料金が異なる場合がありますので」
それ、入国審査官の女性も言ってたな。
「忘れないよう、そして無くさないように、滞在中はきちんと持っていてくださいね」
「は、はい…」
「なお、そちらの旅行者用オレンジカードは、出国の際に回収させていただきます」
…この徹底ぶりである。
じゃあ、滞在中は絶対に無くさないよう、首から提げておく必要があるんだな。
…何だか家畜札みたいで、気分が悪い。
ってことはさっきの女の子も…この国にいたら、青いカードを首から提げてなきゃいけなかったのか…。
俺とシルナは、渋々、オレンジ色の証明書をネームホルダーに入れ。
常に見えるように、それを首にかけた。
「…これで良いのか?」
「はい、ありがとうございます。それでは、ごゆっくりとキルディリア魔王国での観光をお楽しみください」
「…」
ようやく、国境検問所から解放されたものの。
やっぱり、相変わらず俺達の気分は晴れなかった。
船酔いなんかよりも遥かに、陰鬱な気分にさせられた。
助けてあげたいのは山々だったが、俺達にはどうすることも出来なかった。
ただ、黙って見ていることしな出来ない。
俺達は、魔導師証明書とやらを発行するまでの間、待合室に通された。
待合室と言っても、立派なソファが置いてあって、テーブルまであって。
「お飲み物はいかがですか?」
俺達が席に着くなり、職員がにこやかに声をかけてきた。
「え…いえ、あの…」
「軽食もありますので、ご用意しますね」
と言って、頼んでもいないのに、淹れ立ての紅茶と軽食…お皿に乗せたサンドイッチを運んできた。
…その気遣いは有り難いだけど、とても飲み食い出来るような心情じゃない。
シルナも、少し紅茶を啜っただけで、サンドイッチには手を付けなかった。
「…」
「…」
お互い何も言わず、待つこと1時間と少し。
待合室に、さっきとは別の職員さんが入ってきた。
「お待たせ致しました。魔導師証明書が完成しました」
「あ、はい…」
職員さんは俺とシルナに、それぞれオレンジ色の証明書と、新品のネームホルダーを手渡してきた。
…これが、魔導師証明書…?
「滞在中、外に出る時は、例えホテルの廊下であっても、この証明書を首から提げておくことを忘れないようにしてください」
とのこと。
「え…。…ずっと首から掛けてなきゃいけないのか?これ」
「はい、お願いします。万が一忘れたりすると、非魔導師…『青カード』扱いされてしまうこともあるので」
「…青カード…?」
聞いたことのない言葉が出てきて、首を傾げると。
国境検問所の職員さんは、笑顔で教えてくれた。
「カードの色は、魔導師と非魔導師で違うんです。魔導師のキルディリア国民はシルバー、特に優秀な魔導師はゴールド。魔導師の旅行者はオレンジ…」
あ、それで俺達の証明書はオレンジ色なんだ。
シルバーだのゴールドだのって…マシュリの好きな猫缶かよ。
「そして、魔導適性がない者に関しては、非魔導師であることを証明する青い証明書を携帯することになります」
「…青…」
「はい。青カードですと利用出来ない施設や、同じ施設でも青カードのみ料金が異なる場合がありますので」
それ、入国審査官の女性も言ってたな。
「忘れないよう、そして無くさないように、滞在中はきちんと持っていてくださいね」
「は、はい…」
「なお、そちらの旅行者用オレンジカードは、出国の際に回収させていただきます」
…この徹底ぶりである。
じゃあ、滞在中は絶対に無くさないよう、首から提げておく必要があるんだな。
…何だか家畜札みたいで、気分が悪い。
ってことはさっきの女の子も…この国にいたら、青いカードを首から提げてなきゃいけなかったのか…。
俺とシルナは、渋々、オレンジ色の証明書をネームホルダーに入れ。
常に見えるように、それを首にかけた。
「…これで良いのか?」
「はい、ありがとうございます。それでは、ごゆっくりとキルディリア魔王国での観光をお楽しみください」
「…」
ようやく、国境検問所から解放されたものの。
やっぱり、相変わらず俺達の気分は晴れなかった。


