な、何なんだこれは。どうなってるんだ?
「やめてぇぇぇ!連れて行かないでぇぇぇ!」
若い女性は、職員達に取り押さえられながらも、必死に両手を伸ばしていた。
その目は強くカッと開かれ、必死に何かを凝視していた。
そして、若い女性の先にいるのは。
「ママ!ママーっ!!助けてーっ!!」
顔をぐちゃぐちゃにして泣きながら、小さな女の子が、別の職員に無理矢理抱えられ。
何処かに連れて行かれようとしていた。
「連れて行かないでぇぇぇ!その子を返してぇぇぇ!」
「ママーっ!!ママぁぁっ!!」
何が起きているのか分からないけど、これがとんでもない修羅場だということはよく分かった。
多分…これは憶測だけど。
あの女性は、あの小さな女の子の母親なのだ。きっと。
そして、小さな女の子は何処かに連れて行かれようとしている。
母親は娘を取り戻そうと、必死に叫んでいるのだ。
「あ…あれは何なんですか?あの子、あの女の人の子供なんでしょう?」
シルナが、慌てて入国審査官に尋ねた。
しかし、審査官は。
「あぁ…。…そうみたいですね」
うんざりしたような、どうでも良さそうな口調だった。
ぎょっとするような修羅場だというのに、少しも動揺していない。
まるで、こんなものは見慣れていると言わんばかりに。
「そ、そうみたいですねって…」
「お騒がせしてしまって、申し訳ありません。すぐに静かになると思いますから…」
「いや…そうじゃなくて。あの女の子は、何処に連れて行かれようとしてるんですか?何で母親から引き離されようとしてるんですか?」
シルナがそう聞いた時の、審査官の顔。
「何でそんなどうでも良いことを聞くのか?」とでも言いたそうだった。
どうでも良いことのワケないだろ。
だって、母娘共にあんなに泣いて、必死に叫んでるのに…。
「あの子供、魔導適性がなかったんでしょう」
「えっ…?」
「我が国では、満5歳になった全ての子供に魔導適性検査を行う義務があるんです」
魔導適性検査…なら、一応、ルーデュニア聖王国にもあるけど…。
でも…義務ではない。そんなものは、本人の自由だ。
「それで魔導適性があれば良いんですけど。魔導適性がなかったら、原則は国外追放ですね」
「こっ…国外追放っ…!?」
じゃあもしかして、さっきのあの女の子は…。
…魔導適性検査で、魔導適性がないと判断され。
親元を離され、国外追放されるところ、なのか?
とんでもないことをしているはずなのに、女性入国審査官は、当たり前のようにけろっとしていた。
「仕方ありませんよ。だって魔導適性がないんだから」
「…魔導適性のない子は…親と一緒に生きることも許されない、ってこと?」
「毎年一斉の上納金を納めれば、非魔導師の子供でも住むことが出来ますけど…。…あの親は払えなかったんでしょうね」
「…」
…何でそんなことを、当たり前のように…。
結局あの親子は、俺達の目の前で引き離された。
女の子は船に乗せられ、これから国外に送られるのだろう。
俺には、あの親子が、シュニィとアイナのように見えてならなかった。
他人でさえ、耐えられないくらい悲惨な光景なのに。
俺とシルナ以外の誰も、あの親子に関心を払うことはなかった。
「やめてぇぇぇ!連れて行かないでぇぇぇ!」
若い女性は、職員達に取り押さえられながらも、必死に両手を伸ばしていた。
その目は強くカッと開かれ、必死に何かを凝視していた。
そして、若い女性の先にいるのは。
「ママ!ママーっ!!助けてーっ!!」
顔をぐちゃぐちゃにして泣きながら、小さな女の子が、別の職員に無理矢理抱えられ。
何処かに連れて行かれようとしていた。
「連れて行かないでぇぇぇ!その子を返してぇぇぇ!」
「ママーっ!!ママぁぁっ!!」
何が起きているのか分からないけど、これがとんでもない修羅場だということはよく分かった。
多分…これは憶測だけど。
あの女性は、あの小さな女の子の母親なのだ。きっと。
そして、小さな女の子は何処かに連れて行かれようとしている。
母親は娘を取り戻そうと、必死に叫んでいるのだ。
「あ…あれは何なんですか?あの子、あの女の人の子供なんでしょう?」
シルナが、慌てて入国審査官に尋ねた。
しかし、審査官は。
「あぁ…。…そうみたいですね」
うんざりしたような、どうでも良さそうな口調だった。
ぎょっとするような修羅場だというのに、少しも動揺していない。
まるで、こんなものは見慣れていると言わんばかりに。
「そ、そうみたいですねって…」
「お騒がせしてしまって、申し訳ありません。すぐに静かになると思いますから…」
「いや…そうじゃなくて。あの女の子は、何処に連れて行かれようとしてるんですか?何で母親から引き離されようとしてるんですか?」
シルナがそう聞いた時の、審査官の顔。
「何でそんなどうでも良いことを聞くのか?」とでも言いたそうだった。
どうでも良いことのワケないだろ。
だって、母娘共にあんなに泣いて、必死に叫んでるのに…。
「あの子供、魔導適性がなかったんでしょう」
「えっ…?」
「我が国では、満5歳になった全ての子供に魔導適性検査を行う義務があるんです」
魔導適性検査…なら、一応、ルーデュニア聖王国にもあるけど…。
でも…義務ではない。そんなものは、本人の自由だ。
「それで魔導適性があれば良いんですけど。魔導適性がなかったら、原則は国外追放ですね」
「こっ…国外追放っ…!?」
じゃあもしかして、さっきのあの女の子は…。
…魔導適性検査で、魔導適性がないと判断され。
親元を離され、国外追放されるところ、なのか?
とんでもないことをしているはずなのに、女性入国審査官は、当たり前のようにけろっとしていた。
「仕方ありませんよ。だって魔導適性がないんだから」
「…魔導適性のない子は…親と一緒に生きることも許されない、ってこと?」
「毎年一斉の上納金を納めれば、非魔導師の子供でも住むことが出来ますけど…。…あの親は払えなかったんでしょうね」
「…」
…何でそんなことを、当たり前のように…。
結局あの親子は、俺達の目の前で引き離された。
女の子は船に乗せられ、これから国外に送られるのだろう。
俺には、あの親子が、シュニィとアイナのように見えてならなかった。
他人でさえ、耐えられないくらい悲惨な光景なのに。
俺とシルナ以外の誰も、あの親子に関心を払うことはなかった。


