神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

その必要はないって…どういう。

「よし、ベリクリーデ。今こそお前の真価を発揮する時だ」

ジュリスは、ベリクリーデに向かってそう言った。

「しんか?」

「いつものアレだ。派手に、どっかんとやれ。地上まで続く穴を開けるんだ」

え、嘘、ちょ。

「出来るよな?ベリクリーデ」

「うん、任せて。行くよー」

ジュリスに頼まれたベリクリーデは、えへん、と胸を張って杖を持った。

ちょっと待って。何だか分からないけど、凄く嫌な予感が。

「お前ら、伏せろ」

俺達に向かって、ジュリスが鋭くそう指示した。

え、伏せ、

「どっかーん!」

ベリクリーデの杖から、巨大な魔力の塊が爆発した。

ジュリスが伏せろ、と言うわけだ。

俺は急いでその場に伏せようとしたが、シルナがぽかーんとして立ち尽くしているのに気づいた。

シルナのヤツ、反射神経がおじいちゃんだから、咄嗟に伏せろと言われても身体が動かないんだ。

まったく情けない。

「シルナ!伏せろ馬鹿!」

「あ痛っ!」

俺はシルナの背中を蹴っ飛ばし、無理矢理伏せさせ。

俺も同じように、その場に這いつくばるようにして伏せた。



…ベリクリーデが巻き起こした、竜巻のような魔力の爆弾が。

『アメノミコト』アジトの天井に、巨大な風穴を開けた。

開いた穴の向こうに見えた青空に、「あぁ、今日は空が綺麗だなぁ」なんて、どうでも良い脳天気なことを考えた。

「みんな、捕まって!」

脱出口を確保したと見るや。

すかさず、マシュリが神竜バハムートの姿に『変化』した。

マシュリタクシー(復路)、再び爆誕である。

俺達はすかさず、そのマシュリの背中に飛び乗ったが。

「いたぁぁぁぁ!羽久が背中蹴ったぁぁぁ」

顔を思いっきり床にぶつけたシルナだけは、まだ悶えていた。

それを見たイレースが、ちっ、と舌打ち。

「いっそ置いて帰りますか、このパンダ」

「そ、それは駄目だよ。みんなで一緒に帰らなきゃ」

「任せて」

マシュリが、床で悶えるシルナをパクッ、と咥え。

「ふぁぁぁぁぁ!またぁぁぁぁ!?」

情けない悲鳴を上げるシルナを、口の中に咥えたまま。

俺達を背中に乗せたマシュリは、ベリクリーデが開けた風穴から、一気にアジトを脱出。

そのまま、大空に飛び立った。