神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

それもこれも、『玉響』が悪いんじゃない。

あの男だ。

『アメノミコト』の頭領。鬼頭夜陰。

死してなお、『玉響』を安らかに眠らせることすら許さず。

この期に及んで、未だに自分の部下を利用することしか考えていない、あの男が…。

「…ふざけるなよ、お前…」

どうして、こんな恐ろしいことが平気で出来るんだ。

令月のことも、すぐりのことも…自分の駒としか考えず。

ましてや…死んだ『玉響』のことさえ、こうして冒涜して…!

「お前達のやることは…人間の所業じゃない…っ!」

「…あなたが、それを言いますか」

…あぁ、言ってやるさ。

神に反旗を翻した俺達でさえ、死者を冒涜するほど落ちぶれてはいないのだから。

「…『また』裏切るんですか?先輩」

「…僕は…」

令月。そんな奴の言葉を聞くな。

お前は裏切ったんじゃない。自分の信念に…。

「ここは通しませんよ。出来損ないの皆さん。僕が…」

と、『偽玉響』が再び、片手を上げて糸魔法を射出しようとした。

しかし、出来なかった。

『玉響』の糸は、別の人間の糸によって遮られ、絡まり、千切れて落ちた。

「…!?」

この、糸魔法は。

「…やっと見つけたよ」

「…っ!すぐり…!?」

本家本元の糸魔法使い、すぐりのものであった。

振り向くと、そこにすぐりが駆けつけてきていた。

それから。

「良かった、合流出来たな…!」

「ね?多分こっち、って言ったでしょ?」

「はいはい。褒めてやるから、そのドヤ顔やめろ」

「ジュリス…!それに、ベリクリーデも…!」

別行動していたジュリスとベリクリーデが合流。

良かった、この二人も無事だった。

そして、すぐりを助け出してくれたのだ。

…更に。

「…騒がしいと思ったら、あなた達でしたか。侵入者らしく静かに出来ないんですか」

「みんな…!良かった、無事?怪我はしてない?」

「イレース!天音…!」

戦闘音を聞きつけたのか、これまた別行動していた、イレースと天音が合流。

「みんな、揃ってるね」

「マシュリ…!」

勿論、マシュリも一緒である。

それに。

「ナジュ…!お前、無事だったんだな」

「そりゃ無事ですよ。僕、不死身ですから」

そういう意味で言ったんじゃねぇっつーの。

…良かった。これで全員合流した。

このメンツが揃えば、恐れることなんて何もない。

俄然、何とかなりそうな気がしてきた。

「…ちっ…」

さすがの『偽玉響』も、この数だと形勢が不利だと思ったのだろうか。

舌打ちをして、こちらを睨みつけた。

…形勢逆転と言いたいところだが、ここ、敵の本拠地のど真ん中なんだよな。

取り囲まれたら、逆に俺達が追い込まれてしまう。

何とかして…逃げることを考えなければ。

「…シルナ。俺とシルナで時間を稼ごう。その間に、みんなは逃げ…」

と、俺が提案しようとすると。

「いや、その必要はない」

「…ジュリス?」

ジュリスが、そんな俺を制止した。