イレースさんは、更に言った。
「そして、その人物にきちんと引き継ぎをしてから辞めなさい。それが社会人の役目でしょう」
「いや…それは…まぁ、そうなんですけど…」
「それから、今すぐに辞められても困ります。私は既に、今年度はもちろん、来年度、再来年度まで綿密な授業計画を立てています」
えっ。そ、そんな先まで?
「あなたが勝手にいなくなると、その計画に穴が空きます。従って、辞めたいのなら、少なくとも再来年以降になりますね」
「…」
…さ、再来年って。
凄い…凄く先の話だなぁ…。
「それと、あなたが勝手に辞めるのですから、あなたが責任を持って、後任の教師を連れてきなさい」
「いや、あの…」
「ただでさえ、ウチの学院は何処ぞのパンダ学院長の浪費のせいで、経営状況は火の車ですからね。最低賃金で馬車馬のように働く後任を連れてきなさい」
「…ブラックバイトの店長みたいなこと言ってる…」
…うん。
僕は…イレースさんと一緒に、ナジュ君が辞めるのを止めなきゃいけない立場なんだけど。
それでも、思わず「退職は本人の自由なのでは」と言いたくなってしまったよ。
「言っておきますが、その辺の半端な魔導師を連れてこられても困りますよ。あなたの代わりなんですから」
イレースさんは、「あなた」という言葉を特に強調した。
「有能な風魔法使いであることはもちろん、召喚魔導師の資格も持つ者が最適ですね。それから実技授業にも対応してもらわなくては」
増えていく。どんどんと。雇用条件が。
「それと、不死身であることも条件ですね。あなたの代わりなんですから」
再度イレースさんは、「あなた」を強調。
「読心魔法の有無はどうでも良いですが、不死であることは譲れません。どれほどこき使っても死なない、過労死しない人材を募集します」
「…それって、もう人類ではないのでは?」
「仕方ないでしょう。あなたの代わりなんですから」
また、「あなた」って。
「自分の代わりを用意出来ないのなら、あなたにイーニシュフェルト魔導学院の教師を辞める権利はありません。さっさと戻ってきて、馬車馬のように働きなさい」
「…めっちゃブラック企業じゃないですか…」
…うん。
そんな職場に、帰ってこいと言われて帰りたい人、いるのかなぁ…。
イレースさん、いくらナジュ君が不死身でも、もうちょっと容赦というものをしてあげて。
「自分の代わりが何処にもいないということが、これで分かったでしょう」
「…」
ナジュ君はハッとして、それからぎゅっと唇を噛み締めて俯いた。
…そうだね。
イレースさんの…言い方は、ちょっと…いや、かなり悪いけど。
でも、言ってることは事実だ。
ナジュ君の代わりは何処にもいない。
だから、君に戻ってきて欲しいんだよ。
いつかじゃなくて…今、すぐに。
「そして、その人物にきちんと引き継ぎをしてから辞めなさい。それが社会人の役目でしょう」
「いや…それは…まぁ、そうなんですけど…」
「それから、今すぐに辞められても困ります。私は既に、今年度はもちろん、来年度、再来年度まで綿密な授業計画を立てています」
えっ。そ、そんな先まで?
「あなたが勝手にいなくなると、その計画に穴が空きます。従って、辞めたいのなら、少なくとも再来年以降になりますね」
「…」
…さ、再来年って。
凄い…凄く先の話だなぁ…。
「それと、あなたが勝手に辞めるのですから、あなたが責任を持って、後任の教師を連れてきなさい」
「いや、あの…」
「ただでさえ、ウチの学院は何処ぞのパンダ学院長の浪費のせいで、経営状況は火の車ですからね。最低賃金で馬車馬のように働く後任を連れてきなさい」
「…ブラックバイトの店長みたいなこと言ってる…」
…うん。
僕は…イレースさんと一緒に、ナジュ君が辞めるのを止めなきゃいけない立場なんだけど。
それでも、思わず「退職は本人の自由なのでは」と言いたくなってしまったよ。
「言っておきますが、その辺の半端な魔導師を連れてこられても困りますよ。あなたの代わりなんですから」
イレースさんは、「あなた」という言葉を特に強調した。
「有能な風魔法使いであることはもちろん、召喚魔導師の資格も持つ者が最適ですね。それから実技授業にも対応してもらわなくては」
増えていく。どんどんと。雇用条件が。
「それと、不死身であることも条件ですね。あなたの代わりなんですから」
再度イレースさんは、「あなた」を強調。
「読心魔法の有無はどうでも良いですが、不死であることは譲れません。どれほどこき使っても死なない、過労死しない人材を募集します」
「…それって、もう人類ではないのでは?」
「仕方ないでしょう。あなたの代わりなんですから」
また、「あなた」って。
「自分の代わりを用意出来ないのなら、あなたにイーニシュフェルト魔導学院の教師を辞める権利はありません。さっさと戻ってきて、馬車馬のように働きなさい」
「…めっちゃブラック企業じゃないですか…」
…うん。
そんな職場に、帰ってこいと言われて帰りたい人、いるのかなぁ…。
イレースさん、いくらナジュ君が不死身でも、もうちょっと容赦というものをしてあげて。
「自分の代わりが何処にもいないということが、これで分かったでしょう」
「…」
ナジュ君はハッとして、それからぎゅっと唇を噛み締めて俯いた。
…そうだね。
イレースさんの…言い方は、ちょっと…いや、かなり悪いけど。
でも、言ってることは事実だ。
ナジュ君の代わりは何処にもいない。
だから、君に戻ってきて欲しいんだよ。
いつかじゃなくて…今、すぐに。


