と、とにかく。
僕の言ってることが嘘じゃないってことは、ナジュ君はよくよく分かっているはず。
それなら、話は早いよね。
「一緒に帰ろう。ナジュ君」
「…」
「…ナジュ君?」
何故か、ナジュ君は僕の手を取ろうとしなかった。
それどころか、その場に立ち尽くしたまま微動だにしなかった。
「…どうしたの?何か…」
「…折角来て頂いたのは嬉しいですが、僕はまだ帰れません」
「えっ」
…な。
…なん、で?
「やるべきことがあるんです。ここで…」
「や…やるべきこと?何?それ」
「…」
ナジュ君は、しばし戸惑ったように視線を彷徨わせ。
「…令月さんとすぐりさんに手出ししないことを条件に、『アメノミコト』の暗殺者に読心魔法を教えることを命じられてるんです」
「…!」
…そんな。
まさか、それが理由なのか。
ナジュ君が、大人しく『アメノミコト』に囚われていたのは。
「それを条件に、地下の拷問室から出されて、今ここにいるんです」
「…そんな…酷い…」
じゃあ、ナジュ君は最初から、この部屋にいた訳じゃなくて。
少し前まで、ずっと…地下の拷問室で、拷問を受けてたってこと?
なんて…なんて酷いことを。
「拷問に耐えるだけなら、僕はいくらでも耐えます。不死身ですしね」
不死身じゃなくても、痛みは他の人と変わらないだろうに。
「ですが…僕がここに留まることを条件に、令月さんとすぐりさんを解放すると言われては、さすがの僕も…決断しない訳にはいきませんから」
「…」
「僕のことは気にせず、二人を連れてルーデュニア聖王国に帰ってください。それが一番です」
なんで、それが一番なの。
僕にとっては…最低の選択肢だ。
「…嫌だよ、そんなの」
僕は震える声で抗弁した。
「ナジュ君を置いていくなんて…一緒に帰れないなんて…そんなの…!」
「…大袈裟ですね、天音さん」
「っ…」
その言葉を聞いて、思わずカッとしてしまった。
何が大袈裟なんだ。大切なことなのに。
ナジュ君は、自分を大切にしなさ過ぎる。
「別に今生の別れって訳じゃありません。僕は不死身ですよ?何が有っても死にません。この国で用事が終わったら、またルーデュニア聖王国に戻ります」
何故か、ナジュ君は微笑んでいた。
こんなの大したことじゃない、と言わんばかりに。
「その時まで、気長に待っててくださいよ。何年後になるかは分かりませんが…いつか、必ず帰りますから」
「…」
…そう。
そうやって…ナジュ君は、自分を納得させたんだね。
自分の命は無限だから。絶対に終わらないから。
生きてさえいれば、いつか帰る機会もあるだろう。
だから自分はこの国に残って…まずは、令月さんとすぐりさんを無事にルーデュニア聖王国に帰らせる。
…そうだね。ナジュ君。
君なりに、一番の最善策を考えたんだね。
確かにそれが一番、合理的な判断だろう。
僕だって…いつかナジュ君が無事に戻ってきてくれるなら、いつまでだって待つよ。
…だけど。
だけど、それはナジュ君が本心から、自分でそう望んだ時だけだ。
誰かに強制されて、本当は寂しいのに、今すぐにでも一緒に帰りたいのに、そんな自分の本心を押し殺して。
仲間の為に、泣きたいのを我慢しながら、自分を犠牲にしようとしているなら。
僕は、それを受け入れる訳にはいかない。
僕の言ってることが嘘じゃないってことは、ナジュ君はよくよく分かっているはず。
それなら、話は早いよね。
「一緒に帰ろう。ナジュ君」
「…」
「…ナジュ君?」
何故か、ナジュ君は僕の手を取ろうとしなかった。
それどころか、その場に立ち尽くしたまま微動だにしなかった。
「…どうしたの?何か…」
「…折角来て頂いたのは嬉しいですが、僕はまだ帰れません」
「えっ」
…な。
…なん、で?
「やるべきことがあるんです。ここで…」
「や…やるべきこと?何?それ」
「…」
ナジュ君は、しばし戸惑ったように視線を彷徨わせ。
「…令月さんとすぐりさんに手出ししないことを条件に、『アメノミコト』の暗殺者に読心魔法を教えることを命じられてるんです」
「…!」
…そんな。
まさか、それが理由なのか。
ナジュ君が、大人しく『アメノミコト』に囚われていたのは。
「それを条件に、地下の拷問室から出されて、今ここにいるんです」
「…そんな…酷い…」
じゃあ、ナジュ君は最初から、この部屋にいた訳じゃなくて。
少し前まで、ずっと…地下の拷問室で、拷問を受けてたってこと?
なんて…なんて酷いことを。
「拷問に耐えるだけなら、僕はいくらでも耐えます。不死身ですしね」
不死身じゃなくても、痛みは他の人と変わらないだろうに。
「ですが…僕がここに留まることを条件に、令月さんとすぐりさんを解放すると言われては、さすがの僕も…決断しない訳にはいきませんから」
「…」
「僕のことは気にせず、二人を連れてルーデュニア聖王国に帰ってください。それが一番です」
なんで、それが一番なの。
僕にとっては…最低の選択肢だ。
「…嫌だよ、そんなの」
僕は震える声で抗弁した。
「ナジュ君を置いていくなんて…一緒に帰れないなんて…そんなの…!」
「…大袈裟ですね、天音さん」
「っ…」
その言葉を聞いて、思わずカッとしてしまった。
何が大袈裟なんだ。大切なことなのに。
ナジュ君は、自分を大切にしなさ過ぎる。
「別に今生の別れって訳じゃありません。僕は不死身ですよ?何が有っても死にません。この国で用事が終わったら、またルーデュニア聖王国に戻ります」
何故か、ナジュ君は微笑んでいた。
こんなの大したことじゃない、と言わんばかりに。
「その時まで、気長に待っててくださいよ。何年後になるかは分かりませんが…いつか、必ず帰りますから」
「…」
…そう。
そうやって…ナジュ君は、自分を納得させたんだね。
自分の命は無限だから。絶対に終わらないから。
生きてさえいれば、いつか帰る機会もあるだろう。
だから自分はこの国に残って…まずは、令月さんとすぐりさんを無事にルーデュニア聖王国に帰らせる。
…そうだね。ナジュ君。
君なりに、一番の最善策を考えたんだね。
確かにそれが一番、合理的な判断だろう。
僕だって…いつかナジュ君が無事に戻ってきてくれるなら、いつまでだって待つよ。
…だけど。
だけど、それはナジュ君が本心から、自分でそう望んだ時だけだ。
誰かに強制されて、本当は寂しいのに、今すぐにでも一緒に帰りたいのに、そんな自分の本心を押し殺して。
仲間の為に、泣きたいのを我慢しながら、自分を犠牲にしようとしているなら。
僕は、それを受け入れる訳にはいかない。


