「こっちから、ナジュの匂いがする」という、マシュリさんの一言で。
僕達は、マシュリさんの案内でアジト内を歩いていた。
イレースさんは、こんな時でも堂々とした足取りで。
いつも通りイーニシュフェルト魔導学院の廊下を歩く時のように、足早に、すたすたと歩いていた。
凄いなぁ…。あんな堂々と…。
マシュリさんも同じで、僕達の先頭を堂々と歩いていた。
…挙動不審なのは僕だけ。
こう言うと、僕だけが臆病なように聞こえるけど。
実際、僕は自他共に認める臆病な性格なんだけど。
でも、この二人が堂々とし過ぎてるんだよ。
普通、もっと怯えるでしょ?
だってここは、ルーデュニア聖王国じゃないんだよ。
ジャマ王国の、『アメノミコト』のアジトなんだよ?
誰だって足取りが重くもなるよ。
案の定僕達は、ナジュ君のもとに行く途中で、廊下で何人かの『アメノミコト』の構成員とすれ違った。
廊下の向こうから足音がする度、僕は縮み上がる思いだった。
イレースさんに「堂々としていなさい」と言われて、精一杯堂々としているつもりなんだけど。
もしかして「お前達、見慣れない顔だな」とか言われるんじゃないかって。
廊下で人とすれ違う度に、心臓がばくばくと鳴っていた。
だけど幸いなことに、僕らは誰にも声をかけられなかった。
これは幸運なことだった。
令月さんとすぐりさんは、以前『アメノミコト』では構成員同士の馴れ合いはしないと言っていた。
多分、そのお陰だろう。
すれ違っても、挨拶どころか、こちらをちらりと一瞥することもなかった。
安心したけど、ここまで徹底的に存在をスルーされると、何だか寂しい。
同じ組織の仲間同士なんだから、挨拶くらいすれば良いのに…と思ってしまって。
ルーデュニア聖王国のイーニシュフェルト魔導学院や聖魔騎士団だったら、絶対に有り得ないことだ。
…こんな冷たくて寂しいところに、ナジュ君を置いておくことは出来ない。
誰にも言わないし、本人もあまり自覚していないようだけど…ナジュ君って、結構寂しがり屋だから。
こんな寂しいところにいちゃいけない。…絶対に連れて帰ろう。
僕は再度、強く心にそう誓った。
…それで。
「…マシュリさん。ナジュ君は何処に…?」
「ふんふん…。…段々近づいてる。あともう少し」
マシュリさんは鼻をぴくぴくとさせて、ナジュ君の場所に案内してくれた。
防空壕の隠し通路を歩いていた時も思ったけど、マシュリさんが一緒に来てくれたのは、本当に有り難いことだった。
僕一人だったら、今頃とっくに迷子になっていたに違いない。
でもそれだけに、マシュリさんのいない二組のペアが。
学院長先生と羽久さんペア、それからジュリスさんとベリクリーデさんペアのことが心配だった。
あの二組は果たして、このアジトに辿り着けたのだろうか?
令月さんとすぐりさんは見つけただろうか。…『アメノミコト』の構成員に見つかったりしてないだろうか?
無事だと良いんだけど…。
湧き上がる不安を、僕は必死に堪えながら歩いた。
「マシュリさん、あの…」
「見つけた。この先だ」
マシュリさんが立ち止まり、廊下の角部屋を指差した。
…えっ、ここ?
何だか…ちょっと、意外だった。
僕達は、マシュリさんの案内でアジト内を歩いていた。
イレースさんは、こんな時でも堂々とした足取りで。
いつも通りイーニシュフェルト魔導学院の廊下を歩く時のように、足早に、すたすたと歩いていた。
凄いなぁ…。あんな堂々と…。
マシュリさんも同じで、僕達の先頭を堂々と歩いていた。
…挙動不審なのは僕だけ。
こう言うと、僕だけが臆病なように聞こえるけど。
実際、僕は自他共に認める臆病な性格なんだけど。
でも、この二人が堂々とし過ぎてるんだよ。
普通、もっと怯えるでしょ?
だってここは、ルーデュニア聖王国じゃないんだよ。
ジャマ王国の、『アメノミコト』のアジトなんだよ?
誰だって足取りが重くもなるよ。
案の定僕達は、ナジュ君のもとに行く途中で、廊下で何人かの『アメノミコト』の構成員とすれ違った。
廊下の向こうから足音がする度、僕は縮み上がる思いだった。
イレースさんに「堂々としていなさい」と言われて、精一杯堂々としているつもりなんだけど。
もしかして「お前達、見慣れない顔だな」とか言われるんじゃないかって。
廊下で人とすれ違う度に、心臓がばくばくと鳴っていた。
だけど幸いなことに、僕らは誰にも声をかけられなかった。
これは幸運なことだった。
令月さんとすぐりさんは、以前『アメノミコト』では構成員同士の馴れ合いはしないと言っていた。
多分、そのお陰だろう。
すれ違っても、挨拶どころか、こちらをちらりと一瞥することもなかった。
安心したけど、ここまで徹底的に存在をスルーされると、何だか寂しい。
同じ組織の仲間同士なんだから、挨拶くらいすれば良いのに…と思ってしまって。
ルーデュニア聖王国のイーニシュフェルト魔導学院や聖魔騎士団だったら、絶対に有り得ないことだ。
…こんな冷たくて寂しいところに、ナジュ君を置いておくことは出来ない。
誰にも言わないし、本人もあまり自覚していないようだけど…ナジュ君って、結構寂しがり屋だから。
こんな寂しいところにいちゃいけない。…絶対に連れて帰ろう。
僕は再度、強く心にそう誓った。
…それで。
「…マシュリさん。ナジュ君は何処に…?」
「ふんふん…。…段々近づいてる。あともう少し」
マシュリさんは鼻をぴくぴくとさせて、ナジュ君の場所に案内してくれた。
防空壕の隠し通路を歩いていた時も思ったけど、マシュリさんが一緒に来てくれたのは、本当に有り難いことだった。
僕一人だったら、今頃とっくに迷子になっていたに違いない。
でもそれだけに、マシュリさんのいない二組のペアが。
学院長先生と羽久さんペア、それからジュリスさんとベリクリーデさんペアのことが心配だった。
あの二組は果たして、このアジトに辿り着けたのだろうか?
令月さんとすぐりさんは見つけただろうか。…『アメノミコト』の構成員に見つかったりしてないだろうか?
無事だと良いんだけど…。
湧き上がる不安を、僕は必死に堪えながら歩いた。
「マシュリさん、あの…」
「見つけた。この先だ」
マシュリさんが立ち止まり、廊下の角部屋を指差した。
…えっ、ここ?
何だか…ちょっと、意外だった。


