神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

エニスにもらった地図を、よくよく見てみると。

『アメノミコト』には、蜘蛛の巣のように複雑で、そしてたくさんの隠し通路があるようだった。

エニスが把握しているだけでも、この数。

更に、今俺達がいるこの下水道には、アジトに通じる隠し通路が複数存在しているらしく。

さっき、鉄板によって遮断されていた隠し通路の他にも、いくつかアジトに通じる道があるようだった。

そして…。

「…ここだな」

俺達の前には、人間がやっとこさ、這いつくばって通れるほどの大きさの下水管がある。

ここを通れば、『アメノミコト』のアジトに繋がっている…はず。

今度こそ。

「地図によると…ここを通っていけば、アジトの地下室に着くらしい」

ここが使えれば、今度こそアジトに入り込めるのだが。

…よし、行くぞ。

「俺が先に行くから、後をついてきてけれ」

「う、うん」

再び四つん這いになって、下水管を進む。

…今度は、鉄板で遮られてはいなかった。

「おっ…。これは行けそうだぞ」

下水管としては、当分使われていなかったようで。

水が流れた形跡はまったくなくて、ひたすら、ただ細くて暗い下水管が続いている。

凄く窮屈な姿勢のまま、5分ほど真っ直ぐ進んで…。

「あっ…」

唐突に、広い空間に出た。

転がるように、下水管を這い出ると。

「…っ!シルナ、ここ…!」

「えっ?えっ?着いた?」

「…着いたみたいだぞ」

ここが、『アメノミコト』のアジト。

良かった。この隠し通路はまだ使われていたようだ。

ようやく広い空間に出た。

ずっと狭いところを進んでいたから、解放感が凄い。

「ほら、シルナ。早く」

と、俺が促してしまったのが間違いだった。

「やったー!出っ…あ痛っ!」

「…」

喜びのあまりはしゃいだシルナは、狭い水道管の天井に頭をぶつけていた。

ゴッ、って重い音がした。

…何やってんの?

「いたぁぁぁぁ!」

シルナ、涙目。

「馬鹿。大声を出すなって!」

俺は、慌ててシルナの口を塞いだ。

折角隠し通路から入ってきたのに、隠れてきた意味がないじゃん。

聞かれたらどうするんだよ。

すると。




「…誰かそこにいるの?」

「ひっ…」

ほら、シルナが大声出すから、案の定見つかった。

…と、思ったけど。

「…その声…。…まさか、学院長?」

「えっ…!?」

その聞き覚えのある声に、俺は大急ぎで地下室を飛び出した。

すると、俺達が入ってきた地下室の、丁度真向かいにもまた、鉄格子に囲われた地下室があって。

そこに、俺達が探していた…令月の姿があった。