…数日後。
学院長室の前の廊下に設置した笹には、たくさんの短冊がぶら下がっていた。
「見て見てー、羽久!増えてる!」
それを見て、誰よりも喜んでいるのが、このシルナである。
「そうか…。良かったな」
はいはい。
「あ、チョコも減ってる!補充しておかないと…」
短冊に願い事を書くついでに、チョコをもらっていく生徒も多いらしく。
シルナが設置したチョコ入れは、既に半分を切っていた。
シルナは、そこにいそいそとチョコレートを補充していた。
…ったく…。
「意外とみんな、置いとくと書いてくれるもんだな…」
俺は、笹に吊るされた短冊を試しに一枚、手に取ってみる。
『成績が上がりますように』とか、『テストで良い点を取れますように』とか。
勉強熱心な生徒がいる一方で。
「ふゃっ!」
シルナが、思わず奇声をあげていた。
「どうしたよ?」
「こ、これ…」
震える手で、シルナが指差した短冊には。
『〇〇君が振り向いてくれますように』という、非常に甘酸っぱい願い事が書き記されていた。
青春だなぁ。
男の子の名前を〇〇として、内緒にしてるところが可愛らしいな。
「誰のことだろうね…?」
「さぁ…。甘酸っぱくて良いんじゃないのか?」
シルナはそういうの、まったく無縁な上に耐性もないから、どぎまぎしているが。
これもまた、年相応で良いんじゃないか?
イレースが見たら、顔をしかめそうだな。
そもそもイレースは、この学院長室の前に飾られた笹を見て、舌打ちをしていたくらいだからな。
こんなもの飾りやがって、と。
まぁ、このくらいは許してやってくれよ。
「それから、他には…。…あ、羽久。見てこれ」
「ん?」
シルナが見つめる短冊に書かれていた願い事は。
『プラチナ猫缶を山盛り食べたい』
…だってさ。
「…これマシュリだろ?」
「多分…だろうね」
一人だけ人間の願い事じゃねーもん。
普段マシュリ、いろりには、ブロンズ猫缶か、シルバー猫缶を餌として与えている。
時折ゴールド猫缶が安く手に入ったら、その時はゴールドもあげるけど…。
プラチナ猫缶はお高くて、なかなか手が出ない。
イレースに言わせれば、猫の餌なんて必要経費のうちに入っていない。
ペットショップで売られている猫餌の中で一番安い、激安特価のお徳用猫カリカリで充分だ、と言っているが。
生徒とマシュリの強硬な反対により、現在の餌のグレードに保たれている。
でも本音を言えば、やっぱりプラチナ猫缶を食べたいらしいな。
まぁ、うん。願い事は何でも自由だよ。
ただ、「猫缶を食べたい」なんて願い事を見て、生徒達がぎょっとしなければ良いのだが。
学院長室の前の廊下に設置した笹には、たくさんの短冊がぶら下がっていた。
「見て見てー、羽久!増えてる!」
それを見て、誰よりも喜んでいるのが、このシルナである。
「そうか…。良かったな」
はいはい。
「あ、チョコも減ってる!補充しておかないと…」
短冊に願い事を書くついでに、チョコをもらっていく生徒も多いらしく。
シルナが設置したチョコ入れは、既に半分を切っていた。
シルナは、そこにいそいそとチョコレートを補充していた。
…ったく…。
「意外とみんな、置いとくと書いてくれるもんだな…」
俺は、笹に吊るされた短冊を試しに一枚、手に取ってみる。
『成績が上がりますように』とか、『テストで良い点を取れますように』とか。
勉強熱心な生徒がいる一方で。
「ふゃっ!」
シルナが、思わず奇声をあげていた。
「どうしたよ?」
「こ、これ…」
震える手で、シルナが指差した短冊には。
『〇〇君が振り向いてくれますように』という、非常に甘酸っぱい願い事が書き記されていた。
青春だなぁ。
男の子の名前を〇〇として、内緒にしてるところが可愛らしいな。
「誰のことだろうね…?」
「さぁ…。甘酸っぱくて良いんじゃないのか?」
シルナはそういうの、まったく無縁な上に耐性もないから、どぎまぎしているが。
これもまた、年相応で良いんじゃないか?
イレースが見たら、顔をしかめそうだな。
そもそもイレースは、この学院長室の前に飾られた笹を見て、舌打ちをしていたくらいだからな。
こんなもの飾りやがって、と。
まぁ、このくらいは許してやってくれよ。
「それから、他には…。…あ、羽久。見てこれ」
「ん?」
シルナが見つめる短冊に書かれていた願い事は。
『プラチナ猫缶を山盛り食べたい』
…だってさ。
「…これマシュリだろ?」
「多分…だろうね」
一人だけ人間の願い事じゃねーもん。
普段マシュリ、いろりには、ブロンズ猫缶か、シルバー猫缶を餌として与えている。
時折ゴールド猫缶が安く手に入ったら、その時はゴールドもあげるけど…。
プラチナ猫缶はお高くて、なかなか手が出ない。
イレースに言わせれば、猫の餌なんて必要経費のうちに入っていない。
ペットショップで売られている猫餌の中で一番安い、激安特価のお徳用猫カリカリで充分だ、と言っているが。
生徒とマシュリの強硬な反対により、現在の餌のグレードに保たれている。
でも本音を言えば、やっぱりプラチナ猫缶を食べたいらしいな。
まぁ、うん。願い事は何でも自由だよ。
ただ、「猫缶を食べたい」なんて願い事を見て、生徒達がぎょっとしなければ良いのだが。


