神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

で、相変わらずの強烈な臭気に、鼻を摘みながら北に10分ほど歩いて。

ようやく、下水道の一角に小さな穴蔵を見つけた。

俺はその場に立ち止まって、再度地図を確認した。

…間違いない。

ここが、隠し通路の入り口だ。

「着いた?羽久。ここ?」

「あぁ…ここのようだが…」

腰を屈め、四つん這いになって進まなきゃ入れないくらい、狭い入り口だ。

「狭いな…。俺はともかく、デブのシルナはつっかえるかもな…」

「羽久が私に失礼なこと言ってる!」

うるせぇ。

「とにかく、ここが入り口なら入るしかない。シルナ、腹を引っ込めて。頑張ってついてくるんだぞ」

「え、羽久が先に行くの?」

「当たり前だろ。お前が先に行って、腹がつっかえてでられなくなったら、俺まで進めなくなるだろ」

こんな狭い穴蔵で、巻き添えを食らって俺まで閉じ込められるなんて絶対御免だ。

俺が先に行けば、最悪シルナがつっかえても、シルナを置いて、俺だけでもアジトに潜入出来る。

「羽久、もしかして私を見捨てたりしないよね?ねぇ、見捨てないよねっ?」

「世の中には、優先順位ってものがあってだな…」

「ねぇぇ!羽久!助けて!いざとなったら助けてー!」

喚くな。

もしそうなったら、ちゃんと助けてやるよ。…令月達を助けた後でな。

それが優先順位ってものだ。

「じゃ、俺が先に行くから。シルナは後からついてきてくれ」

「う、うん。絶対置いていかれないようにしよう」

そうか。頑張れよ。

俺は身を屈めて、これから俺達が進むことになる、狭い穴蔵のような入り口を覗き込んだ。

うわぁ…。暗い。そして狭い。

どうやらトンネルみたいに、しばらく狭い横穴を進んでいかなきゃいけないようだ。

しかも、天井が低いから、匍匐前進で。

着てる服、ぐっちょぐちょになりそうだな…。

だが、仲間を助ける為に、服がどうとか言ってられない。

よし、行くぞ。

俺はその場に膝をついて、匍匐前進で穴蔵を進み始めた…。

…の、だが。

事はそう簡単に運ばないということを、思い知らされた。

「…!これ…」

「…?羽久、どうしたの?…もしかしてお腹つっかえた?」

お前と一緒にしてくれるな。

そうじゃない。

「何かある…。鉄板みたいなものが」

「鉄板?」

「あぁ、ちょっと…」

暗くて見えなかったが、こうして腹這いになって潜り込んで初めて、気づいた。