神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

俺は、かかっている縄梯子を指で摘んで、試しにぎゅっと引っ張ってみた。

…一応、大丈夫だが。

もう一度、今度は先程よりも強く引っ張ってみると。

途端に、脆くなっていた縄がぷちん、と切れた。

…。…これはキツいな。

「この程度でちぎれるのか…。俺はともかく、慢性肥満のシルナの体重は支えきれないかもな…」

「えぇぇ!?羽久が私に失礼なこと言ってる!私そこまで重くないもん!」

毎日のように、ばくばくとチョコを食ってる奴が何だって?

イレースにパンダって呼ばれてる癖に。

「畜生…。折角ここまで来たのに…」

『アメノミコト』のアジトは、すぐそこなのに。

朽ちた縄梯子のせいで登れない、なんて…。

俺がすぐりみたいに、糸魔法が使えたらな…。

この程度簡単に、ひょいひょい登っていけるだろうに。

…しかし、無い物ねだりをしていても仕方なかった。

今の俺達に、時間を無駄にする余裕はないのだ。

無理矢理登って、(シルナが)墜落して、(シルナが)ぎっくり腰にでもなったら、連れて帰るのが大変だからな。

ミイラ取りがミイラ、どころの騒ぎじゃない。

「…仕方ない。シルナ、この近くに、別の隠し通路もあったよな?」

「え?う、うん。待って、今地図を出すから」

シルナはポケットを探って、さっきエニスにもらった地図を取り出した。

地上とは違って、薄暗くてよく見えないけど…。

この地図によると。

「ここから…北に10分くらい行けば、別の隠し通路の入り口があるはずだ」

「そうだね。…そっちから行くしかないかな」

「あぁ…」

折角ここまで来たのに、歯がゆい思いだが。

助けに来た俺達が、逆に助けられる羽目になったら笑えない。

最善策を取る為に、俺達は縄梯子を断念し、別の隠し通路を探しに、北に向かうことにした。

畜生。待ってろよ『アメノミコト』。