それは思考停止だ。
自分を犠牲にすることで、仲間を助ける…。
聞こえは良いだろう。お前はそれで満足だろう。
だけど、助けられた仲間がどう思うか。
自分の命より大切な人が、自分を助ける為に犠牲になったと知れば。
その後一生、後悔し続けることになる。
一生、心の底から笑うことは出来なくなる。
お前は大切な仲間に、そんな重荷を背負わせるつもりなのか。
「甘えるな。それから…逃げるな」
「…逃げる?何処が逃げてるのさ?」
囚われの身になっているせいで、自分が逃げているという自覚はないらしい。
だが、お前は逃げている。
考えることから。抵抗することから。
そして、自分の本当の気持ちから。
「お前だって本当は、黒月令月と一緒に、ルーデュニア聖王国に帰りたいんだろ」
「それは…」
…やっぱり。
目を泳がせていることが、何よりの証拠だな。
「だったら、その方法を考えろよ。仕方ないからって自分に言い訳して、目を逸らすんじゃねぇ」
「だって…俺は…『アメノミコト』の暗殺者で…」
「それは昔の話だろ。今のお前は違う。ただの花曇すぐりだ」
ただの…イーニシュフェルト魔導学院の生徒。そして子供だ。
「お前が黒月令月を大事に思うように、自分のことも大事にしてやれよ」
これまでもう散々、自分の身体も、心も、充分傷ついてきただろ。
だから…今度は、自分の為に生きてやれよ。
「俺に…そんな資格なんてあるはずないよ」
「資格だの権利だの、そんなものは天の神様が決めることだ。自分で自分を枠に嵌めるな」
「…だけど…」
「四の五のうるせぇ。お前は子供なんだから、年長者の言うことを素直に聞いておけ」
「…ジュリスがおーぼー…」
ベリクリーデ、ちょっと黙ってなさい。
これは大人の特権というものだ。
「自分の心に嘘ついてんじゃねぇよ。黒月令月と一緒に帰りたいって言え」
「…」
「自分も光の下で生きていきたいって。それを助けてくれる仲間が、今のお前にはいるんだ」
俺は鉄格子の隙間から、花曇すぐりに手を伸ばした。
ほんと、馬鹿なやつ。
逆の立場だったら、お前だって同じことをするだろうに。
「行くぞ。…今度こそ、光の下で生きていく為に」
「…」
「言っとくが、嫌だって言っても連れて行くからな」
「…やっぱり、ジュリスがおーぼー…」
だまらっしゃい。
「はー、もう…仕方ない人達だなー…」
花曇すぐりは、呆れたような溜め息をついた。
「まー…でも、君達は前からそーだったっけ…」
「あぁ、そうだ。だから諦めろ」
諦めて、大人しく助けられろ。
俺に気絶させられないうちにな。
「…分かったよ。行くよ」
「本当だな?」
「…うん。俺だって帰りたいもん。…あの場所に」
…そうか。
そう思える場所が出来て良かったな。
「でも、『八千代』も一緒じゃないと帰れない」
「分かってる。お前の相棒は、今頃他の仲間達が助けてるはずだよ」
「そっか。じゃー安心だね」
その通り。
だからお前は安心して、俺の手を取れば良い。
花曇すぐりは手を伸ばして、俺の手をしっかりと握り返した。
自分を犠牲にすることで、仲間を助ける…。
聞こえは良いだろう。お前はそれで満足だろう。
だけど、助けられた仲間がどう思うか。
自分の命より大切な人が、自分を助ける為に犠牲になったと知れば。
その後一生、後悔し続けることになる。
一生、心の底から笑うことは出来なくなる。
お前は大切な仲間に、そんな重荷を背負わせるつもりなのか。
「甘えるな。それから…逃げるな」
「…逃げる?何処が逃げてるのさ?」
囚われの身になっているせいで、自分が逃げているという自覚はないらしい。
だが、お前は逃げている。
考えることから。抵抗することから。
そして、自分の本当の気持ちから。
「お前だって本当は、黒月令月と一緒に、ルーデュニア聖王国に帰りたいんだろ」
「それは…」
…やっぱり。
目を泳がせていることが、何よりの証拠だな。
「だったら、その方法を考えろよ。仕方ないからって自分に言い訳して、目を逸らすんじゃねぇ」
「だって…俺は…『アメノミコト』の暗殺者で…」
「それは昔の話だろ。今のお前は違う。ただの花曇すぐりだ」
ただの…イーニシュフェルト魔導学院の生徒。そして子供だ。
「お前が黒月令月を大事に思うように、自分のことも大事にしてやれよ」
これまでもう散々、自分の身体も、心も、充分傷ついてきただろ。
だから…今度は、自分の為に生きてやれよ。
「俺に…そんな資格なんてあるはずないよ」
「資格だの権利だの、そんなものは天の神様が決めることだ。自分で自分を枠に嵌めるな」
「…だけど…」
「四の五のうるせぇ。お前は子供なんだから、年長者の言うことを素直に聞いておけ」
「…ジュリスがおーぼー…」
ベリクリーデ、ちょっと黙ってなさい。
これは大人の特権というものだ。
「自分の心に嘘ついてんじゃねぇよ。黒月令月と一緒に帰りたいって言え」
「…」
「自分も光の下で生きていきたいって。それを助けてくれる仲間が、今のお前にはいるんだ」
俺は鉄格子の隙間から、花曇すぐりに手を伸ばした。
ほんと、馬鹿なやつ。
逆の立場だったら、お前だって同じことをするだろうに。
「行くぞ。…今度こそ、光の下で生きていく為に」
「…」
「言っとくが、嫌だって言っても連れて行くからな」
「…やっぱり、ジュリスがおーぼー…」
だまらっしゃい。
「はー、もう…仕方ない人達だなー…」
花曇すぐりは、呆れたような溜め息をついた。
「まー…でも、君達は前からそーだったっけ…」
「あぁ、そうだ。だから諦めろ」
諦めて、大人しく助けられろ。
俺に気絶させられないうちにな。
「…分かったよ。行くよ」
「本当だな?」
「…うん。俺だって帰りたいもん。…あの場所に」
…そうか。
そう思える場所が出来て良かったな。
「でも、『八千代』も一緒じゃないと帰れない」
「分かってる。お前の相棒は、今頃他の仲間達が助けてるはずだよ」
「そっか。じゃー安心だね」
その通り。
だからお前は安心して、俺の手を取れば良い。
花曇すぐりは手を伸ばして、俺の手をしっかりと握り返した。


