神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

なんか色々と奇跡が起きて、無事に地下まで辿り着いてしまった。

こんなにトントン拍子に進んでしまって、大丈夫なんだろうか。

ベリクリーデの運が強過ぎるのか、それとも『アメノミコト』の警備状況がザル過ぎるのか。

…考えるのはよそう。

折角掴んだ絶好の機会なのだ。

俺だって別に、ドンパチしたかった訳じゃないし。

今のうちに、早いところ仲間を救出しよう。

こうなったら、最後までベリクリーデの勘に頼ろう。

「ベリクリーデ…。令月とすぐりは、何処にいると思う?」

「?」

「このフロアにいると思うか?」

「うーん…。ジュリスはどう思う?」

え、俺?

いや、俺に聞かれても…俺はベリクリーデほど勘が良くないから。

「いる…と思いたいけど、いないとも考えられるな…」

出てきたのは、こんな曖昧な答えだった。

アジトの地図を見たところ、地下にはいくつもの監禁部屋があるようだった。

このフロアだけじゃない。

その中の何処かに閉じ込められているとして、無数にある監禁部屋のうちから、ピンポイントで探している人物を探し当てるのは至難の業である。

ましてや、勘に頼るなんて無謀の極み。

「…やっぱり、虱潰しに探そう。それが一番確実なはずだ」

幸い、ベリクリーデのお陰で、ほぼ最短ルートでここまで来られたからな。

ここから時間をかけて、令月達をさがっ、

「うーん…。ジュリス、さっきのペン、もう一回貸して」

「は?あ…あぁ」

そうだな。ペン、あった方が良いかも。

こんなにたくさん部屋があるんだ。探した部屋には印をつけて、後で迷わないように…。

…と、いう用途の為に、ベリクリーデがペンを使うはずもなく。

先程と同じように、床に垂直にペンを立て。

そのペンが、ころんと転がった先を見つめ…。

「…よし!あっちだ。行ってみよう」

「ちょっと待て。何だ、その適当な決め方は」

「もしもーし。助けに来たよー。いるー?」

「おまっ…!そんな大声出して…!」

他にも人がいたらどうするんだ、と慌ててベリクリーデを追いかけると。



「…君達、こんなところで何やってんの?」

「は?」

なんか、どっかで聞き覚えのある声がしたな、と思ったら。

鉄格子の向こうに、花曇すぐりが座っているではないか。

あまりに突然の邂逅に、俺はしばし呆気にとられてしまった。

俺達、まだ、このアジトに侵入して15分足らずなのに。

もう、目的の一人を見つけてしまった。

…ベリクリーデの勘、凄くね?