神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

こうなったら、ベリクリーデの直感に全てを賭けるしかなかった。

誰にも会わないことを、必死に祈りつつ。

俺は、ベリクリーデの後をついていった。

俺は内心、いつ侵入が見つかるかとびくびくしていたが。

ベリクリーデは相変わらず、少しも緊張した様子はなく、けろっとしていた。

…お前さん、少しは警戒心ってものを…。

あぁ、もう気にしないでおこう。

「ねぇ、ジュリス」

「…何だよ?」

ベリクリーデが、くるりと振り向いた。

「私、下に行きたい」

下を指差しながら、ベリクリーデが言った。

…下?

「下って…地下のことか?」

「うん」

「…」

俺は、エニスにもらったアジトの地図を思い出した。

確かに、地下には監禁する為の小部屋がたくさんあるらしいから。

令月達が閉じ込められているとしたら、間違いなく地下だろうと思っていた。

そしてベリクリーデの直感も、地下を指している。

…ってことは、ほぼ確定だな。

「ジュリス、下にどうやって行くか知ってる?」

「…そうだな。階段か…エレベーターがあれば良いんだが」

「何処かにあるかなぁ?」

「恐らくな」

俺は、再び地図を思い出した。

ここから下に向かうには…近くに、エレベーターがあるはずだが。

でも…さすがにエレベーターはマズいだろ。

もしもエレベーターの中で敵に見つかったら、袋の鼠だぞ。

やはり、ここは階段を探すのが吉。

「ベリクリーデ、エレベーターはやめておこう。何処かに階段が…」

「よし。あっちに行ってみよう」

はっ?

またしても。

またしても、ベリクリーデは俺の制止を聞かずに、てってけてってけと歩き出した。

しかも、俺が今しがた「やめておけ」と言った、エレベーターの方向に。

俺は一瞬にして青ざめた。

「待て、ベリクリーデ。待てって!」

「あ、見て見てジュリス。エレベーターがあるよ」

あ、あるけど。

でも、それに乗るのは危ないんだって。

更に、恐ろしいことに。

「…!このエレベーター、動いてるぞ…!?」

「ほんとだ」

ほんとだ、じゃないんだよ。

エレベーターの扉の上部にある、階数を示す数字のボタンが点滅している。

丁度今、誰かがエレベーターでこちらに向かっているという証拠である。

つまり、この扉が開いたら、そこには誰かが乗ってるということ。

「やばっ…!ベリクリーデ、逃げ…!」

もう一度青ざめた俺は、急いでベリクリーデを隠そうとしたが。

…時は、もう遅かった。

丁度、今俺達がいる一階に止まったエレベーターの扉が、俺達の目の前で開いた。