神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

で、アジトに侵入したのは良いが。

「ふぅ…。…それで、何処に行けば良いんだ…?」

「ほぇ?」

まさか真正面から侵入することになる、とは思っていなかったから。

これから何処に行けば良いのか…。

「令月とすぐりと、それからナジュを探さなきゃいけないだろ」

「そうだったんだー」

お前、知らずにここまで来たのかよ。

「あのなぁ…お前、もうちょっと緊張感ってものを、はっ!」
 
「ふぇ?」

向こうから人の歩いてくる気配がして、俺は慌ててベリクリーデの口を塞ぎ。

そして、物陰に潜んでやり過ごした。

…あぶねぇ。

バレないように身を潜めていると、運良く、気づかれずに通り過ぎてくれた。

「…はぁ…。危なかった…」

「ドキドキしたねー」

呑気かよ。

「良いか、ベリクリーデ。ここは『アメノミコト』の…敵の本拠地なんだぞ」

「うん」

「もっと慎重に行動するんだ。俺達の働き次第で、令月達の救出が、」

「うーん、何処にいるのかなー」

「あ、おい。こらっ!」

ベリクリーデは、堂々と廊下の真ん中に立ち、きょろきょろと周囲を見渡していた。

おまっ…そんな堂々と。

「話を聞けって。もう少し慎重にって…」

「ねぇジュリス、鉛筆持ってる?」

は?鉛筆?

「…持ってないけど。なんで?」

「持ってないのかー…」

「…ボールペンならあるぞ?」

と、俺はゴソゴソと上着の内ポケットを探り、ボールペンを出した。

一応、書くモノは常に持ち歩くようにしている。ボールペンだけだが。

「あ、じゃあそれで良いや。ジュリス、そのペン貸して」

「え?う、うん…良いけど」

何か書くのか?印をつけるとか?

かと思ったが、ベリクリーデは。

その場にしゃがみ込んで、俺のボールペンを廊下の床に垂直に立て。

ころん、と転がした。

で、そのボールペンが転がった先を指差した。

「よし、あっちに行こう!」

「ばっ…!棒倒しで行き先を決めるなよ!」

そんな適当な決め方があるか?なぁ。

折角地図を手に入れたっていうのに、全然活用してないじゃん。

「ほら、ジュリス。早く行こー」

「だからベリクリーデ!もう少し慎重にって言って、」

「多分あっちな気がする」

「あぁ、もう…!」

てってけてってけ、と歩いていってしまうベリクリーデ。

俺は、必死にその後をついていった。

もうどうにでもなれ。