神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

――――――…俺達は互いにペアを決めて、後で合流することを約束し、別れた。

俺はいつも通り、ベリクリーデとペアを組んだ訳だが…。

「…さてと…」

ここでボーっとしてても仕方ない。

早速、隠し通路から潜入するとしよう。

「よし、行くぞベリクリーデ」

俺は、相方となったベリクリーデに声をかけた。

…しかし。

「…うーん…」

「?ベリクリーデ?」

何故動かない?

ベリクリーデはその場に固まって、何やら考え事をしていた。

…お前はそのちっちゃなオツムで、何を考えてるって言うんだ?

「おい、何ボーっとしてるんだよ」

「…ん〜…」

何か悩んでるようだが。

今は悩むときじゃなく、行動を起こすべき時だろ。

「ほら、行くぞベリクリーデ。ここから西に行ったところに、『アメノミコト』の隠し通路に繋がってる旧防空壕が、」

「よし、決めた」

「は?」

決めたって、何を?

「何だか大丈夫な気がするから、あっちから入ろう」

と言って、ベリクリーデが指指差したのは。

地図によると、『アメノミコト』のアジトの「正式な」入り口があるという、例の空き家。

はっ…!? 

ベリクリーデはその空き家に向かって、とてて、と走っていった。

「ちょっ、まっ…!」

俺は慌てて、その後ろを追いかけた。

ちょっと待て。ちょっと待てって。

お前、一体何処から潜入しようとしてるんだ。

「あ、ここだねー」

空き家に勝手に侵入したベリクリーデは。

地下に通じる、硬いマンホールの蓋みたいな、取っ手のついた丸いコンクリートをひょいっ、と開けた。

驚いたことに、その「扉」の向こうには、広い空間が広がっていた。

本当に、ここが入り口なのか。

地図がなかったら、全然分からなかっただろうな。

「お邪魔しまーす」

「ちょっ…!ベリクリーデ、待てって!」

ベリクリーデの暴走が止まらない。

折角、隠し通路に通じるアジトの地図を手に入れたっていうのに。

…馬鹿正直に、真正面から入っていく馬鹿がいるかよ。

ここにいるんだなぁ。これが。

…って、言ってる場合か。

「ベリクリーデ!ちょっと落ち着け。勝手に入るんじゃない!」

「え?だから、お邪魔しますって」

お邪魔しますと言ったから、勝手に入って良い訳じゃないんだよ。

何とかベリクリーデを連れ戻し、改めて隠し通路から侵入しようと思ったが。

「よし、行こー」

「あぁっ…」

ベリクリーデは、勝手にどんどん進んでしまった。

どうしたら良いんだ。俺。

…そんなの決まってるだろ。

ベリクリーデを、一人にする訳にはいかない。

「畜生、もう、こうなったらヤケだ…!」

俺はベリクリーデを追って、マンホールの蓋みたいな入り口から、『アメノミコト』本部に侵入した。