さて。
思わぬ「協力者」のお陰で、準備は整った。
あとは、こっそり忍び込むだけ。
その前に、地図を見ながら作戦を立てることにした。
「この地図によると…『アメノミコト』本部には、たくさんの隠し通路があるみたいだね」
さすが、暗殺者組織のアジト。
エニスが託してくれた地図には、アジトの各地に繋がる隠し通路の場所までもが書き込まれていた。
恐らく、ここに書かれている隠し通路がすべてではないだろう。
他にもたくさんあるうち、エニス達元暗殺者が知っている隠し通路を、ありったけ地図に記載してくれたのだ、
有り難い。これ、非常に有り難い。
この地図によると、『アメノミコト』のアジトは、最早迷路みたいなもの。
地図なしで忍び込もうとしていた、浅はかな当初の計画を恥じた。
地図には、アジトの「正式な」入り口が記されていた。
どうやら、あの一見何もなさそうな古びた空き家の地下が、アジトの入り口に繋がっていたらしい。
それが分かったのは良かったけども。
アジトの正式な入り口から、堂々と入り込むのは、あまりにも度胸がある…。
…というか、無謀だった。
正面から入っていっても、絶対追い返されるに決まってるからな。
…そこで。
「3手に分かれて、隠し通路から潜入しよう」
と、地図を見ながら、シルナが提案した。
…まぁ、そうするのが無難だよな。
7人でまとまって行動していたら、どうしても目立ってしまうし。
アジトの地図は有っても、令月やすぐり、ナジュの三人が何処に閉じ込められているのかは分からない。
閉じ込められてそうな場所を、虱潰しに探していくしかないのだ。
となると、探す手数は多い方が良い。
「そうですか。ペア分けは?」
イレースの問いかけに、俺は真っ先に答えた。
「俺はシルナと一緒に行くよ」
当然だからな。
シルナは、分かっているという風に苦笑いして頷いた。
「私、ジュリスと一緒が良い」
これまた当然のように、ベリクリーデはジュリスの服の袖を掴んで、そう言った。
「分かってるよ。お前の世話を出来るのは俺だけだからな」
…だな。
じゃ、ジュリスとベリクリーデがペアで。
残るは…。
「イレース、天音と組んでくれるか?」
「私は誰でも構いません」
「僕も…。イレースさんと一緒なら心強いかな」
同じイーニシュフェルト魔導学院教師の、イレースと天音に組んでもらって…。
残る問題は。
「…僕は誰についていけば良いの?」
この中で、恐らくもっとも人探しに長けているであろうマシュリを、どのペアに配置するか、だな。
マシュリは非常に鼻が効く上に、人の気配を察知する能力にも長けている。
それに、純粋な戦力としても桁違いに強いしな。
何処に閉じ込められているか分からない令月達を探す為には、マシュリの協力が不可欠。
…そうだな…。…マシュリは…。
「…ジュリスとベリクリーデについててもらえるか?」
俺はマシュリに、聖魔騎士団からの協力者であるこの二人についてやって欲しかった。
ジュリスとベリクリーデの身に、万が一のことがあったら。
二人が戻ってくるのを待っているシュニィに、申し訳が立たないから。
それに、ベリクリーデの性格的に、あまり戦うことは得意じゃないだろうし…。そこをマシュリに補ってもらえたら…。
そう思って、マシュリはジュリスペアに参加するように提案したのだが。
「いや、俺達は大丈夫だ。マシュリ、あんたはイレースと天音のペアを手伝ってやってくれ」
他ならぬジュリスが、マシュリの協力を拒否した。
…なんで?
思わぬ「協力者」のお陰で、準備は整った。
あとは、こっそり忍び込むだけ。
その前に、地図を見ながら作戦を立てることにした。
「この地図によると…『アメノミコト』本部には、たくさんの隠し通路があるみたいだね」
さすが、暗殺者組織のアジト。
エニスが託してくれた地図には、アジトの各地に繋がる隠し通路の場所までもが書き込まれていた。
恐らく、ここに書かれている隠し通路がすべてではないだろう。
他にもたくさんあるうち、エニス達元暗殺者が知っている隠し通路を、ありったけ地図に記載してくれたのだ、
有り難い。これ、非常に有り難い。
この地図によると、『アメノミコト』のアジトは、最早迷路みたいなもの。
地図なしで忍び込もうとしていた、浅はかな当初の計画を恥じた。
地図には、アジトの「正式な」入り口が記されていた。
どうやら、あの一見何もなさそうな古びた空き家の地下が、アジトの入り口に繋がっていたらしい。
それが分かったのは良かったけども。
アジトの正式な入り口から、堂々と入り込むのは、あまりにも度胸がある…。
…というか、無謀だった。
正面から入っていっても、絶対追い返されるに決まってるからな。
…そこで。
「3手に分かれて、隠し通路から潜入しよう」
と、地図を見ながら、シルナが提案した。
…まぁ、そうするのが無難だよな。
7人でまとまって行動していたら、どうしても目立ってしまうし。
アジトの地図は有っても、令月やすぐり、ナジュの三人が何処に閉じ込められているのかは分からない。
閉じ込められてそうな場所を、虱潰しに探していくしかないのだ。
となると、探す手数は多い方が良い。
「そうですか。ペア分けは?」
イレースの問いかけに、俺は真っ先に答えた。
「俺はシルナと一緒に行くよ」
当然だからな。
シルナは、分かっているという風に苦笑いして頷いた。
「私、ジュリスと一緒が良い」
これまた当然のように、ベリクリーデはジュリスの服の袖を掴んで、そう言った。
「分かってるよ。お前の世話を出来るのは俺だけだからな」
…だな。
じゃ、ジュリスとベリクリーデがペアで。
残るは…。
「イレース、天音と組んでくれるか?」
「私は誰でも構いません」
「僕も…。イレースさんと一緒なら心強いかな」
同じイーニシュフェルト魔導学院教師の、イレースと天音に組んでもらって…。
残る問題は。
「…僕は誰についていけば良いの?」
この中で、恐らくもっとも人探しに長けているであろうマシュリを、どのペアに配置するか、だな。
マシュリは非常に鼻が効く上に、人の気配を察知する能力にも長けている。
それに、純粋な戦力としても桁違いに強いしな。
何処に閉じ込められているか分からない令月達を探す為には、マシュリの協力が不可欠。
…そうだな…。…マシュリは…。
「…ジュリスとベリクリーデについててもらえるか?」
俺はマシュリに、聖魔騎士団からの協力者であるこの二人についてやって欲しかった。
ジュリスとベリクリーデの身に、万が一のことがあったら。
二人が戻ってくるのを待っているシュニィに、申し訳が立たないから。
それに、ベリクリーデの性格的に、あまり戦うことは得意じゃないだろうし…。そこをマシュリに補ってもらえたら…。
そう思って、マシュリはジュリスペアに参加するように提案したのだが。
「いや、俺達は大丈夫だ。マシュリ、あんたはイレースと天音のペアを手伝ってやってくれ」
他ならぬジュリスが、マシュリの協力を拒否した。
…なんで?


