神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「お互い望もうと望むまいと、いずれ私達『八岐の大蛇』とあなた方が、再び相見えることがあるかもしれない」

「…それは…」

「その時あなた方と敵対しない為に、今のうちに恩を売っておきたいのです」

そういうことだったか。

…まぁ、筋は通ってるな。一応。

嘘をついているという訳でもないようだし。

「あんた、意外に頭良いんだな」

我ながら、かなり失礼な言い草だが…これでも褒めてるんだぞ。

『アメノミコト』の鬼頭夜陰とは大違いだ。

あいつは、自分達の主義主張以外は絶対認めない、ってスタンスを貫いてたもんな。

「私の考えではありません。私達の…『八岐の大蛇』のリーダーのお考えなのです」

「リーダー?」

「はい。あなた方を手助けするように、この地図を渡すように命じられたのも、すべてリーダーの意思なのです」

へぇ。

そのリーダーって人は、随分と物分かりが良いんだな。

その人とは仲良くなれそうだ。…多分。

ますます、鬼頭夜陰とは大違いだ。

「…是非一度会ってみたいもんだが」

「えぇ。リーダーもあなた方に会いたがっていました」

そうかい。

「悪いが、今はそんなことをしている余裕はないんだ」

その前に、仲間を助け出さなきゃいけないからな。

「リーダーって人に、よろしく伝えておいてくれ」

「はい、分かっています。…どうかご武運を。それから…『八岐の大蛇』に出来ることがあれば、何でもおっしゃってください」

「…そりゃどうも」

ご親切に。

『八岐の大蛇』としては、俺達に恩を売り、シルナに…ルーデュニア聖王国に、パイプを作りたかった。ってところか。

いずれにしても、助けられたのは事実だ。

地図を俺達に託すと、エニスは静かに立ち去った。

…再び『八岐の大蛇』と見(まみ)える時、果たして敵か、味方か。

出来れば、もっと平和な場所で、平和な状況で再会することを願うばかりである。