――――――…『アメノミコト』で、ナジュが追い詰められていた、その頃。

マシュリタクシーに乗っていた俺達は、ようやく、ジャマ王国に到着した。

街のど真ん中で降りる訳にはいかないので、人通りの少ない郊外に降り立った。

ここから、エリュティアが突き止めてくれた、『アメノミコト』本部に向かう予定である。

「はぁ、はぁ…。死ぬかと思った。死ぬかと…」

地面に降り立ったシルナは、がくっと膝をついていた。

「あっ、膝が震えてる。羽久、立てない〜」

案の定、膝が震えて立てないシルナ。

…こいつ、もうここに置いていこうぜ。

絶対、戦力にならないだろ。

「さっさと行きますよ。モタモタしている暇はありません」

イレースは相変わらず、容赦がなかった。

「そうだな…」

こうしている間にも、令月達が苦しんでいるかと思うと。

今すぐにでも動かなくては。

イレースの言う通り、ここまでしてモタモタしてられるか。

「よし、行こう」

「れっつごー」

「よ、よし…。今行くからね、ナジュ君」

ベリクリーデは元気いっぱい、天音も親友を助けに行く為に、やる気満々である。

「えっ、ちょっ、まっ…!置いてかないで!シルナを置いていかないでー!」

未だに膝が震えて、膝をついたまま、シルナが必死に助けを求めてるような声が聞こえたが。

あれはもう…ほっとこう。うん。

元気になったら追いかけてきてくれ。

しかし。

「…ほら、肩貸してやるから」

「ジュリス君っ…!」

ジュリスだけは、シルナを見捨てなかった。

…ジュリスが良い奴で良かったな。

「ありがとう、ジュリス君…。ルーデュニア聖王国に帰ったら、君にチョコケーキをあげるよ…」

「…別にいらねーよ」

ジュリスに肩を貸してもらって、シルナは何とか、歩いてついてきた。