『玉響』さんは僕のもとに、10人程の魔導師を寄越した。
いずれも、まだ10代前半〜後半の、若い魔導師の卵。
しかし彼らは、イーニシュフェルト魔導学院の生徒達と同じ年頃とは思えなかった。
彼らは魔導師であり、そして暗殺者でもあった。
気さくに話しかけようとしても、全然返事をしてくれない。
彼らの話すことと言えば、「はい」とか、「いいえ」とか、「分かりました」とか。「出来ません」とか。それくらい。
雑談なんて、全然してくれないんですよ。
こんなんじゃ、教師としてのモチベーションも上がらないって言うか。
ロボットに教えてるような気がして。
でも、それも無理もないのかもしれない。
彼らは幼い頃から、暗殺者としての教育を受けてきた。
常に心を殺し、組織と鬼頭夜陰に忠誠を誓い、与えられた任務を忠実に遂行するだけの…暗殺者としての教育を。
そんな彼らに、普通の子供と同じような言動を求めても、それは不可能というもの。
…令月さんとすぐりさんも、昔はこんな感じだったんですかね?
あの二人の過去の姿を見ているようで、何だか気分が悪い。
ただでさえ、教え甲斐の乏しい生徒なのに。
その上、教えるのは読心魔法。
上手く行かないのも当然というもの。
教師として、こんなにつまらないことはない。
…それなのに。
「失礼します。ナジュさん」
「…うぇ…」
一人で、どよーんと沈んでいたところに。
追い打ちをかけるかのごとく、『玉響』さんがやって来た。
僕は、そんな『玉響』さんをじっと見つめた。
「…」
「…何ですか?」
「…いえ…別に…」
本当に、見れば見るほど『玉響』さんそのものだな、と思って。
クローンというのは、ここまでオリジナルとそっくりに作れるものなんですね。
兄弟や双子とは、訳が違う。
本当に、オリジナルとまったく同じ見た目。
だけど…その「中身」までは、どうなんでしょうね?
「…それより、何ですか。僕は今忙しいんです」
「何もしてないように見えますけど?」
…呼吸するのに忙しいんですよ。
「訓練の成果は、どうなっているかと思いまして」
「…」
「鬼頭様が、読心魔法の習得状態はどうか、と尋ねておられました。その後、どうですか?」
「…それは…」
まったく進んでないんですよね。一歩も。
これがもう、本当に、ほんの数センチどころか、1ミリも前に進んでない。
試験前に「私全然勉強してない!」とか言いながら、本当にまったく勉強してない人みたいに。
…とはいえ。
「残念でしたね。まったく進んでいません」
「…まったく?」
「えぇ。まったくです」
「…」
出来てもないことを「出来ました」と報告しても仕方がないので。
取り繕わず、僕ははっきりとそう伝えた。
…そもそも、これが当たり前なんですよ。
「…あなたが暗殺者じゃなくて、良かったですね」
『玉響』さんは、冷たい口調で答えた。
「はい?」
「与えられた任務を果たせない者は、この組織では生きていけません。あなたが暗殺者だったら、今頃不用品として処分されていましたよ」
へぇ。それはそれは。面白いじゃないですか。
不死身の僕をどうやって「処分」するのか、是非とも聞いてみたいですね。
いずれも、まだ10代前半〜後半の、若い魔導師の卵。
しかし彼らは、イーニシュフェルト魔導学院の生徒達と同じ年頃とは思えなかった。
彼らは魔導師であり、そして暗殺者でもあった。
気さくに話しかけようとしても、全然返事をしてくれない。
彼らの話すことと言えば、「はい」とか、「いいえ」とか、「分かりました」とか。「出来ません」とか。それくらい。
雑談なんて、全然してくれないんですよ。
こんなんじゃ、教師としてのモチベーションも上がらないって言うか。
ロボットに教えてるような気がして。
でも、それも無理もないのかもしれない。
彼らは幼い頃から、暗殺者としての教育を受けてきた。
常に心を殺し、組織と鬼頭夜陰に忠誠を誓い、与えられた任務を忠実に遂行するだけの…暗殺者としての教育を。
そんな彼らに、普通の子供と同じような言動を求めても、それは不可能というもの。
…令月さんとすぐりさんも、昔はこんな感じだったんですかね?
あの二人の過去の姿を見ているようで、何だか気分が悪い。
ただでさえ、教え甲斐の乏しい生徒なのに。
その上、教えるのは読心魔法。
上手く行かないのも当然というもの。
教師として、こんなにつまらないことはない。
…それなのに。
「失礼します。ナジュさん」
「…うぇ…」
一人で、どよーんと沈んでいたところに。
追い打ちをかけるかのごとく、『玉響』さんがやって来た。
僕は、そんな『玉響』さんをじっと見つめた。
「…」
「…何ですか?」
「…いえ…別に…」
本当に、見れば見るほど『玉響』さんそのものだな、と思って。
クローンというのは、ここまでオリジナルとそっくりに作れるものなんですね。
兄弟や双子とは、訳が違う。
本当に、オリジナルとまったく同じ見た目。
だけど…その「中身」までは、どうなんでしょうね?
「…それより、何ですか。僕は今忙しいんです」
「何もしてないように見えますけど?」
…呼吸するのに忙しいんですよ。
「訓練の成果は、どうなっているかと思いまして」
「…」
「鬼頭様が、読心魔法の習得状態はどうか、と尋ねておられました。その後、どうですか?」
「…それは…」
まったく進んでないんですよね。一歩も。
これがもう、本当に、ほんの数センチどころか、1ミリも前に進んでない。
試験前に「私全然勉強してない!」とか言いながら、本当にまったく勉強してない人みたいに。
…とはいえ。
「残念でしたね。まったく進んでいません」
「…まったく?」
「えぇ。まったくです」
「…」
出来てもないことを「出来ました」と報告しても仕方がないので。
取り繕わず、僕ははっきりとそう伝えた。
…そもそも、これが当たり前なんですよ。
「…あなたが暗殺者じゃなくて、良かったですね」
『玉響』さんは、冷たい口調で答えた。
「はい?」
「与えられた任務を果たせない者は、この組織では生きていけません。あなたが暗殺者だったら、今頃不用品として処分されていましたよ」
へぇ。それはそれは。面白いじゃないですか。
不死身の僕をどうやって「処分」するのか、是非とも聞いてみたいですね。


