神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

こうして、俺とシルナ、イレース、天音、マシュリ。

そして、ベリクリーデとジュリスの合計7人は。

ジャマ王国に潜入する為に、イーニシュフェルト魔導学院を出立した。

ジャマ王国に向かう為には…。

俺は紙の地図を見下ろした。

「…やっぱり、陸路が安定択だよな。令月とすぐりがそうしたように、山を越えて…」

「空を飛んでいこう」

…は?

マシュリが、突然突拍子もないことを言い出した。

「そ、空を…?なんで?」

「だって、歩いていくとなると時間がかかるでしょ」

そ、それはそうだけど。

でも…これが一番安全なルートなのでは?

当然ながら、俺達は密入国をするつもりである。

馬鹿正直に国境検問所なんか通ったら、あっという間に、俺達がジャマ王国に入ってきたことがバレてしまう。

だからこそ、国境沿いの山道をこっそりと越えて、こっそりとジャマ王国に入ろうと思っていた。

令月とすぐりがそうしたように。

しかし、マシュリは違う意見を持っているようで。

それに、ジュリスも。

「そうだな…。むしろ、山越えルートは危険かもな」

「え…」

「だって、あそこは王道の密入国ルートだろ。『アメノミコト』御用達の」

「…」

…確かに。と思ってしまった。

「『アメノミコト』に見つからずに入国する必要があるのに、奴らのお膝元に自分から入っていってどうするんだよ」

「うっ…」

その通りである。

自分から「見つけてくれ」って言ってるようなもんだ。

だけど…でも、他に方法なんて…と思ったが。

そうか。だから、空から、ってこと?

「でも…空を飛んでいくって…どうやって?」

「こうやって」

マシュリは、自らの魔力を封じ込めている賢者の石の指輪を、スポッ、と外した。

続けてマシュリは、ぱん、と手を打って一回転。

マシュリの本当の姿…神竜バハムートの姿に『変化』した。

相変わらず、なんて神々しい。

「ほぇー」

初めて間近で見たベリクリーデが、目をキラキラさせていた。

全然怖がらないんだな、ベリクリーデは。

「背中に乗って。僕がみんなを乗せて、ジャマ王国まで飛んでいく」

との、頼もしいお言葉。

マシュリタクシー、爆誕の瞬間である。