神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

しかし、5人だけでは戦力に不安が残るのも事実。

すると。

「無闇。あんたの代わりに、俺が行くよ」

ジュリスが、自らそう名乗り出た。

そして、それを聞いた瞬間。

端っこに座って、退屈そうにぶらぶらと足を振っていたベリクリーデが、弾かれたように立ち上がり。

「私も行く」

と、言い出した。

「ベリクリーデ?」

「ジュリスと一緒のところに行く」

「…ベリクリーデ。お前、さっきの話聞いてたか?」

ジュリスが呆れたような口調で、ベリクリーデに尋ねた。

「ちゃんと聞いてたよ」

「本当か?じゃあ、俺達が何処に行こうとしてるのか言ってみろ」

「…。…おつきさま?」

「…なワケないだろ…」

お月様の旅行だったら、楽しかっただろうになぁ。

そんな楽しいところじゃないんだよ。残念ながら。

「ジャマ王国だ。ジャマ王国の『アメノミコト』の本部」

「おぉー。知ってる知ってる。あの…。…温泉が有名なところだよね」

「全然分かってないじゃないか」

温泉…あるのかねぇ?

多分ない。

「何処でも良いよ。ジュリスが行くなら私も行く」

「いや…お前には多分向いてない任務だから。ここで大人しく…」

「お菓子持っていこーっと」

「おい。遠足じゃないんだぞ」

止めるまでもなく、行く気満々のベリクリーデである。

…これは、止めても無駄そうだな。

「ここで待っててな」と言い聞かせても、ひよこみたいに、ジュリスの後をちょこちょこついてきそう。

「ジュリス…」

「…悪い。こいつも連れてって良いか?変なことはしないように、俺が見張っておくから」

「分かってる。大丈夫だよ」

それに、ベリクリーデもいざとなれば、めちゃくちゃ強いからな。

自分の身は自分で守れるだろう。…多分。

「…まぁ、いざとなったらベリーシュもいるし、それに、どうせ『あいつ』も見てるだろうし…戦力には事欠かないだろ」

ジュリスが何やら、ぼそぼそと呟いていた。

「…ジュリス?」

「あ、いや…何でもない。こっちの話だ」

あ…そう。

とにかく、ジュリスとベリクリーデも一緒に来てくれる、ってことで良いんだな?

毎回頼りっぱなしで申し訳ない。

「それじゃ…ジュリスとベリクリーデも加えて、計7人で行く、ってことだな」

「まぁ、そのくらいの人数が妥当でしょうね」

『アメノミコト』の暗殺者と戦うことになるかもしれないと思うと、正直、これでもまだ戦力不足感が否めない。

かと言って、これ以上人数を増やすと目立ってしまう。

俺達は戦うことが目的なんじゃない。

あくまで、令月とすぐりとナジュ、この三人を助け出したいだけなのだ。

こっそり潜入して、こっそり連れて帰れるのなら、それが一番。

戦うのは…出来れば、最終手段にしたい。

…そうさせてくれる相手だったら良いんだけどな。

こればかりは、行ってみないことには何とも言えなかった。