神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

いなくなった三人共、居場所が分かったのは良かったけど。

助けに行くのは、そう簡単なことではない。

何か方法を考えないと…。

と、思っていると。

「僕は行くよ」

「天音?」

黙って、じっと睨みつけるように地図を見ていた天音が。

「ナジュ君を助けに行く。誰に止められても、絶対に行くから」

珍しく強い口調で、天音は断固としてそう主張した。

…天音…。

目の前で親友を連れて行かれてしまった…そのことをずっと後悔している、天音の決意は固かった。

それから。

「僕も行くよ」

次に、マシュリがそう言った。

「彼らは僕を生き返らせる為に、危険な冥界にまで来てくれた。そのことを思えば、ジャマ王国なんて怖くない」

…まったくだな。

「冥界に比べればマシ」と思えば、何もかも解決出来そうな気がする。

「今度は、僕が彼らの命を救う」

マシュリの決意もまた、固かった。

…下手に止めたら、天音とマシュリ二人だけで、勝手に飛び出してしまいそうなほど。

そして。

「聖魔騎士団はこれまで、学院長先生のみならず…令月さんとすぐりさんにも、何度も助けていただきました」

今度は、シュニィが言った。

「今度は、私達の番です」

「…シュニィ…」

…ありがとう。

聖魔騎士団のみんなが手伝ってくれれば、百人力だ。

それに…。

「行き先が何処だろうと、関係ありません」

「…イレース」

「学院を無断で抜け出す不届きな生徒は、さっさと殴って、さっさと連れ戻し、みっちりと補習授業を受けさせる。それだけです」

「…うん。それは分かるんだけど、殴るのはやめてやってくれ。な?」

「ふん」

憮然と鼻を鳴らすイレース。

別にあいつら、抜け出したくて抜け出してる訳じゃなくて。

脅されたから仕方なく…なんだけど。

イレースにしてみれば、そんなものは授業をサボる理由にはならない。

あぁ…早く連れ戻さないと。

帰ってきた後の補習授業が…どんどん過酷なものになっていく。

「そんなことより、あなた達はどうするんです」

と、イレースが俺と…そして、シルナに聞いてきた。

「まぁ、聞くまでもないと思いますが」

「…あぁ、もちろんだ」

聞くまでもないよ。俺にも、シルナにも。

俺は、シルナの方を向いた。

シルナもまた俺の顔を見つめていた。

その表情は、柔らかく微笑んでいた。

…そうだよな。お前は。

行き先が冥界だろうが、キルディリア魔王国だろうが、ジャマ王国だろうが関係ない。

仲間を助けに行く。大切な仲間を。

危険を冒す理由なんて、それだけで良い。

「行こう。令月君達を助けに」

「…あぁ」

お前なら、そう言ってくれると思ってたよ。